内装工事に際し設置漏れが発覚 グリストラップ代金返金請求と損害賠償請求について

2020年11月に飲食店オープンのために、内装工事業者に工事を依頼しました。その際に工事内容に含まれていた「グリストラップ」が設置されていなかったことが、2023年6月に、別のテナントに貸し出す際に発覚。

※グリストラップとは、飲食店の厨房からの排水をそのまま下水に流さないように「油分と水分を分離する働き」をするものです。グリストラップの設置をしていないことが原因で、排水管を詰まらせてしまうと損害賠償を請求されてしまう場合があります。グリストラップの設置をせずに排水管を詰まらせてしまうと損害賠償を請求される場合があるそうです。

こちらから、以下のようなことを求めました。それに対して、「グリストラップ」の代金だけお返ししますという対応で、損害賠償を請求したいと考えています。工事請負契約書には「瑕疵担保期間は工事完了後1年間とする」とありますが、「債務不履行責任」の問題として損害賠償を請求できないでしょうか?

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「求めること
・他の設備に対しても欠陥がなかったかの確認
・グリストラップ不当請求分の返金
・損害賠償:
・施工していない内容を不当請求したこと、説明が一切なかったこと。
・1年以上、グリストラップがついていないことに気づかず飲食店を営業していた。排水詰まり、配管の劣化などのダメージ。
・次のテナントに対する誤ったの説明(御社の工事内容を共有したため、グリストラップは付いている認識で契約)、営業許可の取得が遅れることによる営業損失、家賃の発生。」

グリストラップが設置されておらず不当に請求されていた代金の返金はもちろんのこと、それ以外に知らずに受けていた被害やこれから設置をし直す手間に関しては、100万円ほど請求したいです。

まずは元の契約がどうなっていたのかを正確に確認する必要があります。契約書または見積書にグリストの設置が明記されているかどうかで全然結論が変わります。
なお、契約が2020年11月ならば、民法が改正されているのでそもそも「瑕疵担保責任」という条項をどう解釈するかも問題になるでしょう。それはひとまず置くとして、以下の整理になると考えます。今回は①か②かと理解します。

①グリストの設置が明記されているが設置されていなかった場合
→瑕疵担保ではなく債務不履行責任の問題なので5年以内なら損害賠償請求できると考えます。

②グリストの設置が明記されておらず設置もされていない場合
→契約不適合責任(改正前でいう瑕疵担保責任)の問題になり、工事完了後から1年という条項が効いてしまう可能性があります。

③明記の有無を問わず、グリストが設置されているが不具合がある場合
→②と同様。

なお、債務不履行に基づき損害賠償請求ができるとしても、何を請求できるかは吟味が必要です。
そのあたりはぜひ直接資料をもってご相談されると良いでしょう。