お店での転倒事故による治療費支払い方法について相談したい
昨日お店で母が滑って転倒、膝の皿にヒビが入る怪我をしました。(診断書を貰いました)
原因はお店の冷蔵庫の故障で水漏れをしており、そこで滑ってしまったからです。
かなり盛大に転んだので、周りの人が心配してお店の人に伝えたそうですが、新しいタオルを敷いておきますとだけ言われその方はそのまま品出しを続けていたそうです。
今朝になって足が痛くて動けないとのことで私に連絡が入り、病院へ連れていきました。
その後お店へ伺い店長へ事情を説明、現場を見るとやはりまだ水漏れしておりタオルが敷いてありました。特に注意喚起などはされておらず、店員さんからの声掛けなどもありませんでした。
昨日の対応からも納得がいかずその事を伝えたところ、店長さんからお店の保険で対応するとの申し出がありました。
ただ、内容を聞くと、治療にかかった金額を毎回自宅に来て領収書と引き換えに支払うと言うのです。
あちらの保険でどこまで補償されるのかもよく分からず、後遺症が残った場合はどうするんですか?と聞いたところ、完治しても後遺症が残った場合はまたそのお金を支払うとのことを明記しておきますとの事で電話ですしどこまで補償されるのかも内容がよく分からない状態です。
まだ治療費を受け取ってはいませんが、このまま治療費を受け取ってしまっていいものか、後遺症が残った際損害賠償請求等できないのか弁護士さんにお願いした方がよいのかご相談したいです。
治療費は受け取ったほうがいいでしょう。
相手が責任を認めた証左になりますから。
後遺症や慰謝料は時期をみて請求しましょう。
仮に後遺症が残らないにしても怪我をしたことに対する慰謝料等の損害賠償請求を行うことが可能ですので、弁護士に相談された方がいいでしょう。
近時、スーパーの転倒事故につき、対照的な結論となった2つの判決が出されています。参考までに簡潔に紹介します。
【東京地裁令和3年7月28日判決】
客がスーパー店内に設置されたサニーレタスの特売コーナー前に垂れていた水に足を滑らせ転倒し負傷したとして、スーパー側に損害賠償を求めた事案。
「サニーレタスは水で戻してから販売する必要があることが認められるところ、被告においては、その陳列場所周辺の床が、サニーレタスに付いた水が垂れることによって一定の範囲で濡れることとなる可能性を認識していたと認められる一方、被告がその危険性を考慮して一定時間の間隔で清掃等の転倒防止のための対応を採っていた形跡がうかがわれないことからすると、上記の態様で発生した本件事故について、被告は、信義則上の安全管理義務に違反したものというべきである。」
→ 客にも過失が20%あると認定して過失相殺の上、スーパー側の不法行為責任として約2100万円の損害賠償責任を認める。
【東京高裁令和3年8月4日判決】
客がスーパーのレジ付近通路の床に落ちていたカボチャの天ぷらを踏んで転倒し負傷したとして、スーパー側に損害賠償を求めた事案。
「前記認定の本件店舗におけるかぼちゃの天ぷら等の惣菜の販売方法からすれば、惣菜売場においても、青果物売場と同様に落下物が比較的に多くなる可能性はあるが、これは飽くまでも売場付近での話であり、レジ付近の通路とは区別して考える必要がある。」「これまで他の店舗も含めレジ付近で落下物による転倒事故が発生したことはなかったことが認められる。」「他方、レジ前通路を通行する利用客からは同通路は見通しがよく、同通路上に商品等の落下物があったとしても目に付きやすく、店舗内が混み合っている時間帯でも足下の落下物を回避することは特に困難なことではないと認められる。」「控訴人において、顧客に対する安全配慮義務として、あらかじめレジ前通路付近において落下物による転倒事故が生じる危険性を想定して、従業員においてレジ前通路の状況を目視により確認させたり、従業員を巡回させたりするなどの安全確認のための特段の措置を講じるべき法的義務があったとは認められない。」
このように、事案によって結論が分かれることがあるため、一度、弁護士に直接相談してみることもご検討下さい。
なお、今回のような日常生活上の事故の際、責任のある相手に対して損害賠償請求する際の弁護士費用がご加入の保険から出る特約が付いている場合があります(ご自宅の火災保険や自動車の任意保険等を確認してみて下さい。加入したつもりがなくても、確認してみたら付いていたということがありますので)。