義両親の土地に自分名義で家を建てるリスクとその法的対応について

賃貸住まいなのですが子供が生まれたこともあり、戸建て住宅に引越したいと考えています。妻の両親が自宅から50mほど離れた場所に土地を保有しており、そこに家を建てたらどうか?と提案してくださいましたが、義両親の土地に自分名義で家を建てることのリスクが知りたいです。また、そのリスクに対して法的に準備出来る方法はありますか?

親族とはいえ他人の土地に家を建てるリスクは、ずばり離婚時に顕在化します。土地の利用権原がどうなっているかも問題化します。使用貸借関係となることが多いと思いますが、使用貸借権しかないと建物収去土地明渡の義務を負うリスクがより高まります。地上権を設定するのが最も強力な権原となりますが、そこまでしなくてもと言われてしまう可能性は高いです。

まず、①土地を使用する権利についてですが、今回のように義両親の土地に建物を建てる場合、義両親には賃料相当額を支払わずに無料で使用するケースが多いと思われます。
この場合、ご相談者様は、使用貸借という契約に基づいて、義両親名義の土地を使用することとなりますが、この使用貸借は当事者間の信頼関係に基づくものであり、賃貸借と比べて権利保護の程度が弱いため、万一ご相談者様と義両親との関係が悪化した場合には、義両親から土地の明渡しを請求される可能性があります。

また、②万一離婚することとなった場合の話で恐縮ですが、離婚時には、夫婦共同で形成した財産について財産分与という形で清算を行うこととなります。
この場合、土地は義両親の名義であるため財産分与の対象にはならず、建物のみが財産分与の対象となるため、清算が複雑になるケースが多いです(実際には、実子であるパートナーに建物の名義を譲るか、土地と建物をまとめて第三者に売却してその代金を精算することになると思われます)。

さらに、③義両親が亡くなられた場合、土地が義両親の名義であるため、義両親の相続財産として義両親の実子(ご相談者様のパートナーと義兄弟)による遺産分割の対象となります。
この場合、ご相談者様のパートナーが土地を取得されることで遺産分割協議が成立すれば大きな問題はないと思われます(この場合、遺産の内容にもよりますが、パートナーから他の相続人に対し、代償金を支払うことになると思われます)。
他方、仮に遺産分割協議がまとまらなかった場合、土地がご相談者様のパートナーと義兄弟との共有になるため、土地を売却するのに他の共有者の同意が必要など、権利関係が複雑になります。

以上のほか、相続税・贈与税の観点からも検討すべき事項があると思われますので、詳細については専門家に相談されるのがよいかと思います。

ありがとうございます。離婚時や義両親との関係悪化は想定していましたが、関係に問題なくとも相続時にも確かにリスクはありそうですね。

使用貸借ではなく、正式に借地契約をして地代を払えば権利はある程度保護されるのでしょうが、その行為自体信頼関係に影響を与えるリスクも孕んでいそうで難しいですね。。

わかりやすい解説ありがとうございました!

いずれにせよ実際に家を建てる場合でも、事前に弁護士の先生に相談しようと思います!