離婚裁判の尋問に行きたくないです。

離婚裁判中です。被告の長年のDVが酷かったので離婚を決めました。近いうちに尋問がありますが、被告を見るとDVを思い出してしまい、どうしても行きたくないです。尋問に欠席することは可能でしょうか?
尋問を突破しないと離婚することは出来ないのでしょうか?
尋問に行くとして、法廷で被告と顔を合わせないようにしてもらえることはないのでしようか?

尋問は離婚訴訟の当事者から直接話を聴く重要な手続きであり、欠席してしまうと、あなたに不利に扱われてしまうおそれがあります。

【参考】民法訴訟法
(不出頭等の効果)
第二百八条 当事者本人を尋問する場合において、その当事者が、正当な理由なく、出頭せず、又は宣誓若しくは陳述を拒んだときは、裁判所は、尋問事項に関する相手方の主張を真実と認めることができる。

 そのため、尋問期日に出席しつつ、あなたの不安を緩和する措置をとってもらえるよう、事前に、裁判所に対して次のような申立てをしておく方法が考えられます。

被告と直接顔を合わせることが精神的に困難な場合には、裁判が係属している家庭裁判所に、①遮へい措置(民事訴訟法203条の3)又は②ビデオリンク方式(民事訴訟法204条)による尋問の実施を事前に申し立ててみる方法があります。さらに、③お一人ではどうしてもご不安な場合には、尋問への付添い(民事訴訟法203条の2)を求めることもできます。
 ①遮へい措置とは、被告の前に衝立をたててもらい、あなたの姿が見えない方法で尋問を実施する方法です(あなたからも被告は見えないようになっているかと思います)。
 ②ビデオリンク方式とは、裁判所内の法廷とは別の部屋にあなたが待機しつつ、裁判官や被告(代理人を選任している場合には、原告代理人や被告代理人も)がいる法廷とテレビ画面を通じて両部屋をつなぎ、尋問を実施方法です。

 以下に、民事訴訟法の参考条文も載せておきますので、これらの方法を希望する場合には、必ず尋問期日よりも前に(裁判所側の検討•準備の時間も踏まえ、尋問期日よりも半月程度前に)、あなた側から裁判所にこれらの措置の申立てをするようにして下さい(あなた側から申立てをしないと、これらの措置はとられないのが通常です。また、尋問期日当日に申し立てても準備が間に合わない可能性があります)。

【参考】民事訴訟法
(付添い)
第二百三条の二 裁判長は、証人の年齢又は心身の状態その他の事情を考慮し、証人が尋問を受ける場合に著しく不安又は緊張を覚えるおそれがあると認めるときは、その不安又は緊張を緩和するのに適当であり、かつ、裁判長若しくは当事者の尋問若しくは証人の陳述を妨げ、又はその陳述の内容に不当な影響を与えるおそれがないと認める者を、その証人の陳述中、証人に付き添わせることができる。

(遮へいの措置)
第二百三条の三 裁判長は、事案の性質、証人の年齢又は心身の状態、証人と当事者本人又はその法定代理人との関係(証人がこれらの者が行った犯罪により害を被った者であることを含む。次条第二号において同じ。)その他の事情により、証人が当事者本人又はその法定代理人の面前(同条に規定する方法による場合を含む。)において陳述するときは圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認める場合であって、相当と認めるときは、その当事者本人又は法定代理人とその証人との間で、一方から又は相互に相手の状態を認識することができないようにするための措置をとることができる。

(映像等の送受信による通話の方法による尋問)
第二百四条 裁判所は、次に掲げる場合には、最高裁判所規則で定めるところにより、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によって、証人の尋問をすることができる。
一 証人が遠隔の地に居住するとき。
二 事案の性質、証人の年齢又は心身の状態、証人と当事者本人又はその法定代理人との関係その他の事情により、証人が裁判長及び当事者が証人を尋問するために在席する場所において陳述するときは圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認める場合であって、相当と認めるとき。

(証人尋問の規定の準用)
第二百十条 第百九十五条、第二百一条第二項、第二百二条から第二百四条まで及び第二百六条の規定は、当事者本人の尋問について準用する。