業務委託契約の途中解約の可否について。担当者と円滑な話し合いができない。
・ある配信事務所と昨年の12月から2年間の業務委託契約(非独占契約)を結んでいます。(準委任契約等の契約形式の記載はない為不明です。)
・事務所に在籍しているのですが鬱症状があるため契約解除を検討しており、3月上旬から担当者へ相談しているのですがなかなか話し合いが進展しません。(「鬱症状あるため途中での契約の途中解除などは可能でしょうか」などを何度も相談⇒「契約期間満了後の解除となります。契約期間満了時に解除します。契約書内容に従ってください」の1点張り)
・契約書の締結含め、担当者への連絡手段はLINEのみです。複数の質問や確認しても、返事は3日後に一つのみの回答などで円滑に話し合いができません。
・契約書締結の際に「控えがメールアドレス宛に届きます」と記載がありますが、自身のメール受信履歴にはありません。そのため、契約締結日がわかりません。
・途中契約解除を禁止する内容の文の記載はありません。
上記の場合、契約途中解除通知書の送付(4月末 or 5月末で契約解除の内容)などで申し立て・退所はできるのでしょうか。また、違約金は発生するのでしょうか。実際の配信活動は一度もできておりません。
そして、17条3項から4項、21条などは退所後も有効で、活動が制限されるものなのでしょうか。(該当プラットフォームなどを担当に確認しても回答いただけません)
以下に契約書の関係個所を記載します。
第17条(有効期間)
1 本契約の有効期間は、契約の締結日の翌月1日から2年とします。なお、契約終了日の
2か月前までに契約を終了させる旨の意思表示が当社又は配信者のいずれからも書面でな
されない場合、本契約の定めに基づいて成立する契約関係は2年間自動で更新されるもの
とし、その後も同様とします。
3 配信者の契約期間、配信者の利用する配信プラットフォームに関わらず、当社の認め
るものを除いて配信者のフリーライバー化、直移籍、事務所移籍は出来ないものとしま
す。
4 キャラクターを変更して、実質的に移籍することも配信者の契約期間、配信者の利用
する配信プラットフォームに関わらず、当社の認めるものを除いて出来ないものとしま
す。
5 当社が配信者として不適切と判断した場合には契約期間の途中であっても契約解除を
行うことが出来るとします。
第18条(完全合意)
1 本契約は、本契約の対象となる事項に関する配信者と当社の合意のすべてであり、電
子的方式、口頭、書面を問わず、本契約の対象となる事項に関する本契約締結以前の当社
と配信者間における一切の合意、意思表示及び通知に取って代わるものとします。
2 裁判所によって本契約又は個別契約の一部が無効、違法又は執行不能と判断された場
合においても、当該部分を除く他の合意 の有効性、合法性及び執行可能性には、なんら
の影響や支障が生じるものではないものとします。
第20条(協議事項)
本契約に定めのない事項又は本契約の条項の解釈に疑義が生じた場合、当社と配信者は、
信義・誠実の原則に従って協議の上、円満な解決を図るものとします。
第21条
退所後の1年間は理由の如何を問わず、他の委託者(他事務所)と契約をしてライブ配信
サービスに出演することができません。
また、退所後の1年間は、フリーライバーとしてもライブ配信サービスに出演することが
できません。
第23条
本契約の有効期間内に、当社の承諾を得ずに本契約を解除した場合、配信者は、当社に対
し、違約金としてその損害(直接損害および通常損害のみならず、逸失利益、事業機会の
喪失、データの喪失、事業の中断、その他の間接損害、特別損害、派生的損害および付随
的損害を含む全ての損害を意味する。)の全額を直ちに支払う。
中途解約禁止の条項が設けられていないのであれば、事務所側に中途解約を禁止できる根拠はないように思われます。
また、公正取引委員会という国の機関が「芸能分野において独占禁止法上問題となり得る行為の想定例」として、「所属事務所が,契約終了後は⼀定期間芸能活動を⾏えない旨の義務を課し,⼜は移籍・独⽴した場合には芸能活動を妨害する旨⽰唆して,移籍・独⽴を諦めさせること(優越的地位の濫⽤等)を例示しています。
ライバー事務所にも同様のことが言える可能性があり、あなたのケースでも、独占禁止法上問題となり得ます。
ただし、「※これら⾏為が実際に独占禁⽌法違反となるかどうかは,具体的態様に照らして個別に判断されることとなる。例えば,優越的地位の濫⽤に関して,不当に不利益を与えるか否かは,課される義務等の内容や期間が⽬的に照らして過⼤であるか,与える不利益の程度,代償措置の有無やその⽔準,あらかじめ⼗分な協議が⾏われたか等を考慮の上,個別具体的に判断される」という指摘もなされているので、ご事案に応じ、挙げられている事情を具体的に検討して行く必要があります。
また、第21条には退職後1年間の競業避止条項、第23条に配信者側からの解除に対する違約金条項が定められています。これらの条項を盾にして、あなたからの解約を認めない対応をしてくることが想定されます。
事務所との契約内容からすると、退所等で事務所側と揉めことが想定されますので、お住まいの地域等の弁護士に直接相談・依頼し、事務所側と交渉にあたってもらう方法もあるかと思います。
(参考)「⼈材分野における公正取引委員会の取組」(令和元年9月25日 公正取引委員会)6頁
https://www.jftc.go.jp/houdou/kouenkai/190925kondan_file/siryou2.pdf
清水様
ご回答ありがとうございます。
中途解約禁止や一定期間芸能活動の制限の根拠とならない件、独占禁止法にふれていること把握いたしました。
私自身活動自体はない状態なのですが、その場合でも違約金発生の可能性になりうるのでしょうか。3/12日時点で「現時点では違約金発生はしません」との変身をいただいているのですが...
また、1点張りの回答の為満足な話し合いができず、形としては揉めている状態になっています。
仮に地域の弁護士に相談することを検討する場合は、そのようなジャンル・分野・タグに対応している弁護士の方に相談することがいいのでしょうか。(労働契約違反や就業規則、損害賠償、退職代行など)
重ねてのご質問となり申しわけありません。