ワンナイトをした相手から中絶費用を請求された場合について
お世話になります。
TTTと申します。
マッチングアプリで出会った女性とワンナイトをしました。
避妊具を付けずに性行為を行った私にも非はありますが、相手の女性も付けなくて良いと言っていたため、避妊具を付けませんでした。
そして、数週間後に妊娠したと告げられました。
最後は外に出したのですが、もしかしたら私との性行為が原因である可能性は否定しきれない状態です。
中絶費用を払わないと訴えると言われました。
性行為には同意したが、中に出すのは同意していないため訴えるとのことです。
口頭では同意していました。
LINEでの性行為の同意の履歴は保存してあります。
性行為後に関係が悪くなるといったこともなく、解散した後に以前と同じような温度感の連絡をとっていた履歴もあります。
加えて、ラブホテルの部屋の入口は女性が開けたため、性行為の同意はあることを確認できるかと思います。
中絶を絡めた詐欺もあるので、本当に妊娠しているのか定かではありませんが、訴えると言われ、非常に動揺しております。
以上の点より、
「性行為には同意していたが、中に出すことを同意していなかったため訴える」
ということは可能なのかをお伺いしたいです。
お手隙の際にご返信いただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。
ワンオネスト法律事務所の弁護士の吉岡一誠と申します。
ご質問に対する回答としては、理論上は、相手方が性行為それ自体には同意していたものの膣内射精には同意していなかったという場合には、不法行為として慰謝料の支払義務が発生し得ます。
しかし、本件においては、事後に相手方との間で普段どおりのLINEのやり取りをしていたということですので、膣内射精についても同意があったものと認められる可能性があり得るかと思います。
なお、膣内射精に関する同意の有無とは別の観点として、中絶に関しては、裁判例上、交際女性が妊娠した場合に適切な物理的、精神的、ないし経済的な援助をしなかったことが不法行為に該当するとして、女性の精神的苦痛に対する慰謝料の支払いを命じた判決もあるところであり、今後の当方の対応の仕方次第では、実際に相手方が妊娠していた場合に中絶費用の折半分の負担だけで済まない可能性もあるため、ご不安であれば弁護士に具体的な相談をしても良いかと思います(今回はマッチングアプリでのワンナイトですし、ご察しのとおり一般的にはこの手の詐欺も存在するところであるため、杞憂に終わる可能性もありますが)。
ご回答ありがとうございます。
私としては中絶代の折半を希望しております。
現在は1日2回ほどメッセージのやりとりをし、話を聞きつつなだめている状態です。
妊娠が発覚してからの電話や実際に会ってはおりません。
また、私が訴えられるとすると、
ステルシングによっての準強制性交等罪が考えられると思いました。
同意の上でしたのでステルシングは行っていませんが、その点を主張されると私も行っていないという証明ができません。
抵抗できない状態でのステルシングは準強制性交等罪が成立しますが、今回は成立しにくいかと思います。
事後もLINEは普段通り続いていますし、抵抗できない状態で性行為が行われたのであれば、その後のLINEに影響するはずですので。
この場合ですと、
中絶費用の折半の話を持ちかけるのが最も良い選択なのでしょうか。
また、受け付けないと言われ、全額負担してほしいと言われた場合は素直に受けるしかないのでしょうか。
お手隙の際にご返信いただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。
言いがかりで警察に被害届を出されるということも例としてはあるので、捜査対象になってしまう事態に発展するリスクも0とは言えませんが、ご指摘のとおり、特に飲酒により相手方が抵抗できないほどに酩酊状態にあったといった事情もなく、事後に平穏なラインのやり取りをしているとなれば、リスクは低いものと考えます。
そもそも、同意の上で性交渉をした場合において、男性側が中絶費用の全額を負担する義務を負うということはなく、条理上の義務を負うとしても半額程度のため、今回の解決案としても、きちんと中絶に係る通院、施術の根拠資料(エコー写真や領収書など)を提出してもらったうえで、半額程度の支払いを申し出れば十分かと思います(他の男性の子供である可能性がある、そもそも妊娠していない可能性がある、といったことを踏まえて支払いを拒否するという選択もあるでしょうから、必ずしも半額支払の申し出が「最良」という趣旨ではありませんが、万一裁判を起こされたりした場合の相談者様の弁護士費用の負担や精神的負担を考慮すると、「無難」とはいえるでしょう)。
ご返信ありがとうございます。
吉岡様のご意見をいただき、
費用の折半を申し出ようかと思います。
重ねて質問になってしまい申し訳ないのですが、今後の流れが合っているか確認していただきたいです。
まず、電話もしくは対面で今回の件の非を認め、謝罪する。
↓
性行為に同意があったこと、事後に平穏なLINEをしていたため、無理やり襲われたわけではないことの裏付けとなる等の状況を整理し、
その上で折半の話を持ちかける。
↓
そのために、中絶に係わる通院、施術の根拠資料を提出していただきたい旨をお伝えする。
↓
後日、書類の提出が完了次第、半額の支払いを行う。
以上の流れでよいのでしょうか。
ご返信いただけますと大変助かります。
よろしくお願いいたします。
概ねその流れで良いですが、2点だけ注意すべきでしょう。
一つは、謝罪の仕方ですが、後々民事上刑事上のリスクを負うことにならないように、あくまでも無理矢理であったとか同意がなかったといったことは認めないようにお気をつけください。
また、金銭を支払ったにもかかわらず、被害届を出されたり裁判を起こされたりしないように、事前に金額やそれ以上の請求をしないことなどを記載した合意書を作成して双方署名押印したうえで支払いをするのが望ましいかと思います。
ありがとうございます。
誠心誠意謝罪し、話し合いのうえ、合意書を持参して本件の解決に努めます。
この度は本当にありがとうございました。