社内規定で禁止されていない副業で処罰すると言われた
社会福祉法人の介護事業に勤務するものです。
先日別の事業を立ち上げた友人の手伝いで介護技術のyoutubeに出演したところ、上司から、これ以上youtubeに参加するならば処罰すると言われました。
友人からは寸志をいただいています。
社内規定には副業禁止の文言は一言もありませんが、先日の会議の議事録に副業禁止と記載されていました。事務局に確認したところ、副業は禁止されておらず、最高責任者のいない会議で規約に関わる部分について話し合われ、それを強制するような議事録を出す方が問題だと言われました。
この場合、副業を禁止したり、それに対して罰則を与えるのは有効になるでしょうか?
懲戒処分の有効要件として、根拠規定の存在が必要です。具体的には、「あらかじめ就業規則において懲戒の種別及び事由を定めておくこと」「その内容を適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続きが採られていること」が必要と解されています。したがって、先日のYouTube出演時点では兼業禁止規定が存在しなかった以上、そのことを理由に処分されることはないでしょうが、勤務先法人が今後上記のような手続きを適切に履践し、兼業禁止を懲戒事由とする規定を設けた場合は、今後、その規定を根拠に兼業をした従業員が懲戒処分とされることは考えられます。従業員は、労働契約上の義務として職務専念義務を負っていますので、会社は、その義務を履行できないような形で従業員が兼業することを禁止することは可能です。
もっとも、仮に兼業禁止規定があっても、全ての無許可兼業が懲戒事由に該当するものではありません。就業時間職場外での労働は私生活上の領域ですので、基本的には従業員の自由であり、不当に従業員の私生活を制限することはできません。兼業禁止規定が存在する場合、裁判所は、①労務提供に支障が生じる場合、②企業の経営秩序を害する場合(競業避止義務違反等)、③企業の対外的信用・体面を侵害する場合であれば、その違反を理由に懲戒処分をすることも可能と判断する傾向にあるようです。
動画の内容にもよるでしょうが、ご指摘の事実関係のみをもとにすると、仮に今後のYouTube出演を理由に懲戒処分をされたとしても、本件は上記のような場合にあたらないとして無効を主張することは考えられます。また、処分の根拠となる就業規則の策定・手続きが不十分であるならば、それを理由に処分の無効を主張することも考えられます。不当な処分を受けているとお感じになられたら、弁護士に相談されてもよいと思います。
丁寧に分かりやすくご回答いただきありがとうございます😊
気持ち良く協力したかったので助かりました。