不祥事の際の給料支払いについて
3月いっぱいで前職を退職しました
退職に伴い有休を買取してもらった状態なのですが
4月の頭に3月いっぱいで退職した職場に忍び込み窃盗を犯してしまいました。
もう既に事は発覚しており、私も全面的に犯行を認めている状態なのですが。
給料の支払いはこのままされるのでしょうか。
判例によれば、使用者による一方的な相殺は不法行為を原因としたものでも許されないとされています。
「労働者の賃金は,労働者の生活を支える重要な財源で,日常必要とするものであるから,…使用者が労働者に対して有する債権をもって相殺することも許されないとの趣旨を包含するものと解するのが相当である。このことは,その債権が不法行為を原因としたものであっても変わりはない。」(最大判昭和36年5月31日)。
しかしながら、判例によれば、使用者が労働者の同意を得て行う相殺については,相殺合意が有効となる一定の例外を認めています。
「労働者の完全な自由意思に基づいたものであると認めるに足りる合理的理由が客観的に存在することを要件として,全額払いの原則に反しないと解釈しています(最二小判平成2年11月26日)。
→ あなたが会社からの相殺に自由意思で同意した場合には、相殺は有効となる可能性があります。
ただし、いきなり給与全額と相殺し、あなたないし同居のご家族等が生活に困る事態が生じる場合には、「労働者の賃金は,労働者の生活を支える重要な財源で,日常必要とするものである」と述べた昭和36年判例の趣旨に反する可能性があり、「労働者の完全な自由意思に基づいたものであると認めるに足りる合理的理由が客観的に存在する」という平成2年判例の例外要件をみたさない可能性があります。
これらの判例を活用する等して、相殺の時期•回数•方法などにつき、会社側とよく話し合ってみることが考えられます。会社側が話しを聞こうとしない場合には、労働基準監督署に相談してみる方法もあるでしょう。
【参考】裁判所サイト
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=57713
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52759