非接触事故にあたるかどうか
先日、夜9時頃、自動車を運転中に起きたことです。周りに建物がほとんどなく、街灯があっても暗く感じる場所の、横断歩道のない片側一車線の広い道を時速45キロくらいで走行中、対向車線側の路かたを走っていた自転車がいきなりこちらに向かって舵をきってきたため急ブレーキをかけ、それと同時に自転車が転倒しました。幸い、少し距離もありまったく接触はしていませんが、非接触事故に当たるのでしょうか?後続車がいたため、いったん路かたに停車して自転車の方へ行ったのですが、その間に去っていかれたようでいませんでした。こちらは何か請求したいというのはありませんが、こちら側が悪くなるのでしょうか?
その時の状況としては、
・自転車はフラつきながら対向車線側の路かたをこちらと同じ進行方向で走行。
・立ち去っていかれたのはなぜか進行方向とは逆方向へ行かれた(進行方向には自転車は走っていませんでした)
・暗い道だったのでこちらは法定速度より速度を落として走行していた
・自転車の運転手の方はこちらが通り過ぎると同時にいきなり横断するかのように舵をきった
・道幅は片側4メートルくらいはある広い道
・自転車は対向車線のど真ん中あたりで転倒
・転倒時、車の位置はちょうど運転席のドア真横あたり
こちらはもしものために、ドライブレコーダーを搭載しているので、当時の状況は証拠としては残っています。
非接触事故の不法行為の成否に関する考え方として、車両と歩行者との事案ではありますが、以下の判例が参考になるかと思われます。
<最高裁昭和47年5月30日判決>
「ところで、不法行為において、車両の運行と歩行者の受傷との間に相当因果関係があるとされる場合は、車両が被害者に直接接触したり、または車両が衝突した物体等がさらに被害者に接触したりするときが普通であるが、これに限られるものではなく、このような接触がないときであつても、車両の運行が被害者の予測を裏切るような常軌を逸したものであつて、歩行者がこれによつて危難を避けるべき方法を見失い転倒して受傷するなど、衝突にも比すべき事態によつて傷害が生じた場合には、その運行と歩行者の受傷との間に相当因果関係を認めるのが相当である。」
→ この判例の考え方からしますと、自動車側(あなた)は片側一車線の道路を進行方向に向かって直進していたに過ぎず、自転車側の予想を裏切るような運行をしてないこと、自転車側が危険を避けるべき方法を見失ったような事情を特に見受けられないこと等からすれば、衝突にも比すべき事態とは言えないように思われます。
また、転倒によって相手が傷害を負ったのか、自転車等に物損が生じたのかも不明です。
なお、もしものために、①ドライブレコーダーの映像は上書き等で消失しないように保存しておく、②ご自身加入の保険会社に念のために報告しておく(時間が経ってからの報告の場合、保険対応をしてもらうのに苦慮する可能性があります)こと等が考えられます。
【参考】裁判所サイト
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52040