「著作権者」と「著作権管理者」、契約書ではどちらの表記が正しい?
私どもは出版社で、作家さんと出版契約書を結ぼうとしています。
その作家さんは自分の作品を
あるエージェント会社(作家さんが作った会社ではない)に
管理を任せています。
この場合、出版契約書は……
■A
著作物名 作品のタイトル
著作者名 作家さんのペンネーム
★著作権者名 株式会社×××
★著作権者 株式会社××× を甲、出版者 株式会社××× を乙とし、乙が甲の上記著作物を文書または図画として自動公衆送信装置によって送信可能化して出版することを引き受けることに関し、次のとおり契約(以下「本契約」という)を締結する。
or
■B
著作物名 作品のタイトル
著作者名 作家さんのペンネーム
★著作権管理者名 株式会社×××
★著作権管理者 株式会社××× を甲、出版者 株式会社××× を乙とし、乙が甲の上記著作物を文書または図画として自動公衆送信装置によって送信可能化して出版することを引き受けることに関し、次のとおり契約(以下「本契約」という)を締結する。
ポイントは★の部分です。
……AとB、どちらで書くのが正しいでしょうか?
つまり著作権の管理を委託している法人の場合、
「著作権者」と「著作権管理者」、
どちらの表記にすべきか、という問題です。
なお、会社を作っていなかったり、管理を他者に任せていない
個人の作家さんの場合、普段はAの方でやっています。
まず、作家の方からエージェントに委託されている権限の範囲を念のため確認しておくべきでしょう。
著作権の管理委託契約では、作家の方に著作権があることを前提に、管理を委託した著作権の利用契約の交渉•締結、使用料の収•配分、管理著作権の第三者による侵害行為の調査等を委託する業務の範囲にしているものが多いように思います(著作権管理を委託されている個人•企業側が委託範囲をよく理解しておらず、出版契約等の締結権限までは有していないと思われるケースも稀にあります。また、管理委託というタイトルとは裏腹に著作者から著作権が譲渡されているような内容の契約書も稀に見られます)。
Aの記載の仕方だと、実際の著作権者が作家の過大であるにもかかわらず、著作権をエージェント側が有しているような記載になっています。
他方、Bの記載の仕方だと、著作権者が誰であるのか契約書上からは不明のように思われます。また、エージェント側に出版契約の締結の代理権限があるかのような記載の仕方になっています。
著作権の所在(著作権者は作家か否か)及びエージェント側の出版契約の代理権限の有無等を確認の上、
著作権が作家にあり、エージェントが出版契約の代理権限を有していない場合
→ 以下となるように思われます。
著作権者名 作家の方
著作権者 作家の方を甲、
署名欄の甲には、作家の方が署名捺印
著作権が作家にあり、エージェントが出版契約の代理権限を有している場合
→ 以下となるように思われます。
著作権者名 作家の方
著作権者 作家の方を甲、
署名欄の甲には、作家の方が署名捺印又は作家の方の代理人であることを明記の上でエージェントが署名捺印
安全を期すなら、締結予定の契約書を持参等の上、一度、弁護士に直接相談なさってみることもご検討下さい。
丁寧な返信ありがとうございます。
よく理解できました。
Bの方が良い、ただし……
>署名欄の甲には、作家の方が署名捺印
>又は作家の方の代理人であることを明記の上でエージェントが署名捺印
……がベストのように感じました。