被相続人が亡くなる前に引き出されたお金について。

被相続人が亡くなる、数週間ほど前に被相続人と同居していた相続人が、数百万円を被相続人の預金口座から出していることがわかりました。

高齢な被相続人が、亡くなる数週間前に数百万円もの大金を、自分で引き出すとは考えにくいので、同居をしていた相続人が被相続人の預金口座から出したのではないかと考えています。

その引き出されたお金は、引き出す数日前に、定額貯金が満期をむかえたため、被相続人の口座に振り込まれたお金のようです。

引き出したお金が全額、葬儀代として使われているのであれば納得できるのですが、そうでない場合、そのお金はどういう扱いになるのですか?

被相続人と同居をしていた相続人が『生前贈与を受けた』ということになるのでしょうか?

贈与か横領かですね。
贈与なら特別受益として相続分に反映させます。
横領なら返還請求します。
任意に返還しないときは、返還訴訟を起こすこともあります。

具体的にどのような行為があったのかという事実が確定しないと、「扱い」を判断できません。
そのため、ご相談のケースのような場合、それを取り戻すなどの主張が困難となることもあります。
被相続人に無断で勝手におろしたというのであれば、それは不法行為としておろした人に対して損害賠償請求をすることが考えられますし、
被相続人がその人に贈与したというのであれば、生前贈与を受けたとして特別受益として扱うことも考えられます。

被相続人と同居していた相続人が、被相続人の口座から引き出したお金を、タンス預金として隠してしまって、生前贈与なのか、横領なのか判断できない場合は、被相続人が亡くなる前に引き出されたお金は諦めないといけないのでしょうか?

裁判を起こした場合に、請求する側が、具体的にどのような行為があったのか(被相続人が贈与したのか)を主張する責任があります。
もちろん、相手が、具体的にどのような状況だったのかを話してくれるとか、こちらの主張を認めてくれれば話は早いのですが、そうでない場合には、周辺の状況から丁寧に主張、立証する必要があります。
必ずしも諦める必要はないのですが、それほど簡単なことではありません。