中古車の契約不適合による追完請求において、修補を別の業者に依頼することは可能ですか?

2022年12月末に中古車販売店に行きその場で契約し、2023年1月中旬に車が納車されました。
その後、タイヤが交換時期になっていたので2月中旬に販売店とは異なるディーラーに行き車をみてもらったところ、外から見えないところに私の知らされていない損傷がある事、契約後から納車前の間に私に無断で部品交換(修復歴にはならないが大きな部品)を行った形跡がある事が発覚しました。この場合、販売店側に契約不適合責任があると思いますので追完請求により修繕を要求したいと思っております。
以上が状況説明で、相談内容は修繕の方法になります。私としては、販売店はこの損傷を知っていたと思うとのコメントがディーラーからあったこと、契約後に無断で部品交換を行っていることからも販売店が信用できません。そのため販売店以外の業者で車を修繕し、費用を販売店に負担してもらいたいと思っているのですが法的にそのような要求は可能でしょうか?また販売店が販売店自身での修繕には応じるが、他の業者での修繕には応じないと言った場合に私から出来ることはありますか?

契約不適合責任が追求できる場合、買主は売主に対し、追完請求(目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完の請求)、代金減額請求、損害賠償請求、契約の解除という方法がとれる可能性があります。
 販売店以外の業者で車を修繕し、費用を販売店に負担してもらおうとする場合、かかった修理費用相当額について、売主に対する損害賠償請求を行うことが考えられます。
 ただし、①債務者に帰責事由がない場合には損害賠償請求はできないため、帰責事由の有無を争われる可能性がある、②販売店以外の業者による修理の範囲•内容•金額等の妥当性が争われる可能性があることには留意が必要です(販売店以外の業者による修理費用が当然にそのまま全額賠償されとは限らないため、留意が必要です)。
 さらに、契約書等の契約関係書類によっては、契約不適合責任の制限や免責に関する条項が設けられていることもあります。そのため、売買契約書等の内容も確認しておく必要があります。
 いずれにしても、売買契約書や損傷に関する証拠等を持参の上、一度、お住まいの地域の弁護士に直接相談し、適切なアドバイスを受けてみることもご検討下さい(見つかった損傷について、売買契約書の内容等に照らし、契約不適合責任を問えるのかについても確認しておかれるとよろしいかと思います)。

【参考】民法
(買主の追完請求権)
第五百六十二条 引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。
2 前項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、同項の規定による履行の追完の請求をすることができない。
(買主の代金減額請求権)
第五百六十三条 (略)
(買主の損害賠償請求及び解除権の行使)
第五百六十四条 前二条の規定は、第四百十五条の規定による損害賠償の請求並びに第五百四十一条及び第五百四十二条の規定による解除権の行使を妨げない。