刑事罰と懲戒処分の重さが逆転している場合、法的には、どちらのが罪が〝重い〟ということになるのか?
ある警視庁所属の警察官は、
乗用車で飲酒運転をして衝突事故を起こし2人に軽傷を負わせたとして、
裁判所から罰金50万円の略式命令を受けました。
この警察官は、その後、警視庁から
停職3か月の懲戒処分を受けました。
<出典>
https://response.jp/article/2006/06/15/82949.html
また、
別の警視庁所属のある警察官は、
パトカーで緊急走行中に横断歩道を渡っていた男児を撥ねて死なせる事故を起こしたとして、
裁判所から禁錮2年6か月、執行猶予3年の有罪判決を受けました。
その警察官は、その後、警視庁から
減給100分の10(6カ月)の懲戒処分を受けました。
<出典>
https://www.sankei.com/article/20201009-IW534M7CINIMPK5EYUH2ZQB23U/
しかし、これらを見て疑問に思ったのですが、
前者の人は、
刑事罰は罰金50万円、懲戒処分は停職3か月、
後者の人は、
刑事罰は禁錮2年6か月執行猶予3年、懲戒処分は減給6か月、
だったわけですよね。
これって、
刑事罰の重さと懲戒処分の重さが逆転しているという
“ねじれ現象”が発生していないですか?
つまり、所属庁としては前者のが罪が〝重い〟と考えているが、裁判所としては後者のが罪が〝重い〟と考えているわけですよね。
結局、前者の人と後者の人、
起こした非違行為の重さは、
法的には、どちらのが“重い”のですか?
法的に、刑事罰と懲戒処分を比較する基準は特にありません。(刑事罰同士、懲戒処分同士は比較可能ですが)
ご回答ありがとうございます。
そうなのですね。
それでは、松本弁護士としては、前者の行為と後者の行為、どちらのが非違行為として〝重い〟とお考えですか?
警察に対する信用を害するかという観点からは前者が重く、職業を一要素にとどめる個人の社会的非難の度合いということからは後者が重いでしょう。「非違行為」をどのように考えるかによります。
ありがとうございます。
つまり、必ずしも
「刑事裁判にて確定した刑事罰の重さ」=「法的な罪の重さ」
とは限らないという事ですね。
ご理解のとおりでいいと思います。どの観点から「非難」するかによるということでしょう。