解約通知の到達日につきまして

母が介護施設(ショートステイ)を利用中 入院(1月18日)となり 2月5日時点で 退院後も医療的措置が必要となる可能性が高く 介護施設では対応困難と判断 同日21時12分電子メールにて事業者の名刺に記載あるアドレスに 解約通知送付(契約書14条2の二に入院が解約事由と記載あり これに言及の上送付)。
ただし 事業者から返信メールが来たのは翌日13時11分。(午前11時4分に携帯メールで確認を入れたところ 外出先につき帰社次第読むとの返答)
契約書14条1には 利用者は契約終了を希望する7日前までに事業者に通知するものとします とあります。
民法97条1項は到達主義と解されておりますが、
本件では、解約通知が先方のメールサーバーに到達したと推測される2月12日が解約日(利用料(宿泊費)が発生する最終日)となるか あるいは先方からメールの返信が来た2月13日か いずれでしょうか

民法97条1項の到達とは、受領権限を有する者に実際に了知される必要まではなく、受領権限を有する者の了知可能の状態におかれたこと、すなわち、意思表示の書面がそれらの者のいわゆる勢力範囲(支配圏)内におかれることで足りると解されています。
 そうすると、解約通知が先方のメールサーバーに到達したと推測される2月12日に相手方の了知可能な状態におかれた。すなわち、解約の意思表示が相手方の勢力範囲(支配圏)内に置かれたと評価できる可能性があるかと思います。

以下の判例(最高裁第一小法廷 昭和36年4月20日判決)が参考になるものと思われます。

「ここに到達とは右会社の代表取締役であつたEないしは同人から受領の権限を付与されていた者によつて受領され或は了知されることを要するの謂ではなく、それらの者にとつて了知可能の状態におかれたことを意味するものと解すべく、換言すれば意思表示の書面がそれらの者のいわゆる勢力範囲(支配圏)内におかれることを以て足るものと解すべきところ(昭和六年二月一四日、同九年一一月二六日、同一一年二月一四日、同一七年一一月二八日の各大審院判決参照)、前示原判決の確定した事実によれば、B自動車の事務室においてその代表取締役であつたEの娘であるFに手交され且つ同人においてDの持参した送達簿にEの机の上に在つた同人の印を押して受取り、これを右机の抽斗に入れておいたというのであるから、この事態の推移にかんがみれば、Fはたまたま右事務室に居合わせた者で、右催告書を受領する権限もなく、その内容も知らず且つB自動車の社員らに何ら告げることがなかつたとしても、右催告書はEの勢力範囲に入つたもの、すなわち同人の了知可能の状態におかれたものと認めていささかも妨げなく、従つてこのような場合こそは民法九七条にいう到達があつたものと解するを相当とする。」

【参考】裁判例検索(裁判所サイト)
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=53631

ご回答有難うございました。 書籍等では 到達主義の事例として郵便物が郵便受けに配達されたケースが挙げられてますが これは判例に基づくものでしょうか