芸能事務所の契約解除について。

アイドルをやっていました。芸能事務所に所属していて2022/07/19にその事務所の契約書を書きました。契約書によると、契約日間は2022/08/04〜2024/08/04までとなっていますが、2023/02/03に解約書類を書きました。

そしてその後解約書類を書いた後Twitterを新しく設立しました。

昨日の解約の際にお伝え漏れがあったのですが、 ご自身と判別できるアカウントの作成もNGとなります。恐れ入りますが早急の削除対応をお願いいたします。

と連絡がきました。

解約書類には

2.解除後の芸能活動について
2023/08まで、表現及び制作に関する活動全般、並びに芸能全般ができないものとする。

3. 営業行為について
乙は、法人、個人問わず、 甲ならびに、 甲がマネジメントするグループまたは所属者の顧客に対して、甲の許可なく、電話・メール・
SNS・手紙・その他手段を使って、一切の営業行為、並びに個人的な連絡を取ることができないものとする。 ただし営業行為につ
いては、前項に定める期間をあけた後の、 芸能活動においてはその限りではないものとする。

と記述があります。
3の記述ですとTwitterを作ってはいけないのでしょうか?営業行為はお金が発生する行為だと思うので営業行為ではないと思うのですが。また、解約書類を書いた時に言われなかったことですし守る必要があるのでしょうか?
また2の6ヶ月は必ず守らないといけないですよね?

よろしくお願い致します。

解約書類に記載されている文言上は、制限されているのは、「一切の営業行為」と「甲ならびに、 甲がマネジメントするグループまたは所属者の顧客に対して、個人的な連絡を取ること」です。
 そのため、純粋に個人的な使用のためにTwitterのアカウントを開設することまではこれらの制限に該当しない様に思われます。ただし、TwitterにはDMなどの機能もあり、元所属先の芸能事務所の顧客と連絡を取れてしまう可能性があるため(あなたが連絡をしなくても、あなたのファンだった顧客があなたと連絡を取りたくてDM等で連絡してくる可能性もあるでしょう)、元所属先の芸能事務所の顧客に対して個人的な連絡を取った又は取ろうとしている等と言われる可能性があります。
 また、Twitterは表現•情報発信のための手段のため、芸能•表現•制作の活動のためのアカウント開設やTwitterでのつぶやき等も「表現及び制作に関する活動全般、並びに芸能全般」に該当する可能性があります。
 芸能活動の制限期間の6か月(2023/08まで)については、無効とまでは言えない程度の長さと評価される可能性はあるでしょう。

なお、今後の活動の際の参考にしていただくべく、以下、情報提供致します。

公正取引委員会という国の機関が「芸能分野において独占禁止法上問題となり得る行為の想定例」として、「所属事務所が,契約終了後は⼀定期間芸能活動を⾏えない旨の義務を課し,⼜は移籍・独⽴した場合には芸能活動を妨害する旨⽰唆して,移籍・独⽴を諦めさせること(優越的地位の濫⽤等)を例示しています。
 ただし、「※これら⾏為が実際に独占禁⽌法違反となるかどうかは,具体的態様に照らして個別に判断されることとなる。例えば,優越的地位の濫⽤に関して,不当に不利益を与えるか否かは,課される義務等の内容や期間が⽬的に照らして過⼤であるか,与える不利益の程度,代償措置の有無やその⽔準,あらかじめ⼗分な協議が⾏われたか等を考慮の上,個別具体的に判断される」という指摘もなされているので、ご事案に応じ、挙げられている事情を具体的に検討して行く必要があります。

元所属先事務所とトラブルになった際は、弁護士に直接相談・依頼し、事務所側と交渉にあたってもらう方法もあるかと思います。

(参考)「⼈材分野における公正取引委員会の取組」(令和元年9月25日 公正取引委員会)6頁
https://www.jftc.go.jp/houdou/kouenkai/190925kondan_file/siryou2.pdf