妻の不倫相手との示談後、妻へも調停で慰謝料を請求することは問題ないですか?
令和元年にマイホームを新築し、妻と二人の幼い娘と4人で仲良く暮らしているつもりだった令和2年12月、私がいつもより早く帰宅したことで妻の浮気相手Aと鉢合わせし不倫が発覚。問いただすと、Aの子どもを妊娠していることを告白しました。不幸中の幸い(言葉は悪いですが…)で翌月に流産したため、Aとは2度と会わないよう約束したうえで婚姻関係の修復を図ってきました。しかし、令和4年3月に妻の妊娠の兆候に気づき問いただしたところ、再びAの子どもを妊娠したことを認め、妻は家を出てAとの同棲を始めました。その後妻は、令和4年9月に男の子Bを出産しました。
Aとは先日500万円の慰謝料を条件に示談しました。近々妻を相手方とし離婚調停とBの嫡出否認調停を申立てるのですが、離婚調停申立書の「申し立ての趣旨」において、100万円の慰謝料を請求することは問題ないでしょうか?
「慰謝料の二重取りは出来ない」との情報を見聞きすることが多いので、公序良俗に反するのではと心配しております。
決してただお金が欲しいわけではなく、「Bの出産費用弁済(私の口座から支出)」,「探偵調査費用」,「嫡出否認でのDNA鑑定費用(裁判所より嫡出否認申立人の負担と言われました)」くらいは返してもらわないと気が済まないのが本音です。
調停申立書の「申し立ての趣旨」において、100万円の慰謝料を請求することは問題ないでしょうか?
「慰謝料の二重取りは出来ない」との情報を見聞きすることが多いので、公序良俗に反するのではと心配しております。
→調停は双方の話し合いの場であり、裁判官が公序良俗違反など判断や認定するわけではありません。
また、そのように判断や認定がされたとしても公序良俗に反する金額については無効と評価されるだけですので、100万円の慰謝料を請求すること自体は問題ないと思われます。
ワンオネスト法律事務所の弁護士の吉岡一誠と申します。
Aが相談者様にすでに500万円を支払ったのであれば、通常、そこに妻の責任分も含まれていると考えられるため、相談者様が被った精神的損害は全て慰謝されたとみなされて、追加で妻に対しては請求できない可能性があります。
ただし、全損害が慰謝されたといえるのかどうか、夫婦関係を破綻に至らしめた妻の責任として慰謝料額はいくらが適切なのかにについては、最終的に裁判所が判断することであって、相談者様が調停や訴訟の中で妻に対して100万円の請求をすること自体は何も問題ありません。
なお、「探偵調査費用」「嫡出否認でのDNA鑑定費用」などの経済的損害は、精神的損害たる慰謝料とは別の費目になりますので、分けて請求すべきでしょうし、「Bの出産費用弁済(私の口座から支出)」 については財産分与の算定にあたり差し引きして考慮すべき事項になるかと思います。