親が児童に対して、本人の意思に反して宗教上の理由から肉食を禁じるのは、思想の自由の侵害に当たらないか

ある家庭では、自分の子(※その子は未成年)に対して、宗教上の理由から肉を食べることを禁じているらしいです。

肉を食べることを禁じているというのは、家庭内にいるときだけではなくて、家庭外にいるときでも肉を食べることを禁じているということらしいです。

しかし、その子自身は、自分は本当は肉が食べたいと言っていました。

そこで思ったのですが、親が自分の子に対して、その子自身の意思に反して宗教上の理由から肉を食べることを禁じる行為は、たとえその子が未成年であったとしても、その子に対する「思想の自由」の侵害に該当しないですか?

疑問に感じたのでよろしくお願いします。

結構難問です。

まず、親子間では日本国憲法は直接適用されないので、「思想の自由の侵害」を理由として咎めることは困難なように思います。「人殺しはいけないよ」などと言った通常の道徳教育も困難になる恐れがあるので、間接適用も困難でしょう。

ただ、特定の食事を与えない点については、健康上の問題があれば児童虐待防止法2条3号の禁じるネグレクトにあたるとして同法に基づく措置がなされる可能性があります。
しかし、肉食を一切しないことが直ちに健康上の問題があるかについては子どもの年齢や発育状況、アレルギーの有無などにもよりますし、必須アミノ酸についてカバーしているかにもよります。虐待とは言えないかも知れません。

子どもの意思に反して菜食を強制することが民事上の不法行為を構成する可能性はありますが、一方で親の思想の自由、信仰の自由との兼ね合いもあり、判断が難しいところです。いわゆる「宗教2世問題」とも共通するところです。

具体的な話を細かく聞かないと断定出来ないところであるので、どうしても気になるようなら弁護士に直接面談でご相談下さい。