不貞行為の慰謝料 求償権の行使

不貞行為で相手の奥様から慰謝料請求されています。
今は示談で話し合いの書面を交わしています。
離婚はしないようで、別居もしていないそうです。
求償権を行使すると書面したら、最初は放棄して欲しいと言われていたのですが、次の書面で、夫は慰謝料請求に応じていている状況で求償権を使えないと思います。と返答されました。
嘘の可能性もあると思いますか?
一緒に住んでいるのに慰謝料を支払っているとは思えません。又相手が慰謝料を支払っている証拠などは弁護士を通してわかるものでしょうか。それでも支払っていると奥様が言ったらもう支払ってる事になって求償権は使えないのでしょうか

>夫は慰謝料請求に応じている状況で求償権を使えないと思います。
→ まず、求償権を行使することになる相手は、不貞行為の相手の奥様ではなく、不貞行為の相手(夫)です。
 次に、不貞行為は共同不法行為であり、共同不法行為者のうちの一人が行った支払は、他の共同不法行為者にとっても支払義務を減少•消滅させる事由となります。そのため、不貞行為の相手(夫)から妻に対する支払が実際になされているのであれば、妻に対する損害賠償義務は減少ないし消滅することになります(夫の支払の金額次第では、妻に対する損害賠償義務は消滅し、後は夫からあなたに対する求償の問題になることになります。夫の妻に対する支払金額が少額であれば、夫の支払額を差し引いた残額については妻に対する賠償義務が残っていることになります)。
 そのため、不貞行為の相手(夫)が妻に慰謝料の支払いをしたというのであれば、その支払の事実を確認の上であなたの対応を検討できるよう、支払の証拠の提供を相手方に求めてみることが考えられます。

>相手が慰謝料を支払っている証拠などは弁護士を通してわかるものでしょうか。それでも支払っていると奥様が言ったらもう支払ってる事になって求償権は使えないのでしょうか
→ 支払の証拠の提供を相手に強制することまではできません。
 ただし、相手の妻が夫から支払を受けたというのであれば、共同不法行為者のうちの一人(夫)が支払をしたことにより、他の共同不法行為者(あなた)の妻に対する支払義務も消滅したことを理由に、妻に対する支払はできかねることを端的に相手方に伝えることになろうかと思います(不貞行為をした夫が妻に支払をしたのであれば、妻に対する損害賠償義務はもはや消滅したと言えばよいことになり、わざわざ求償権の行使を理由とした減額の交渉をしていく必要はなくなるはずです)。
 なお、夫の妻に対する支払金額が少額であれば、夫の支払額を差し引いた金額については妻に対する賠償義務が残っている可能性があります。その場合には、あなたの支払金額を確定できるよう、夫がいくら支払ったのかが確認できる証拠を尚更求めて行くことになろうかと思います。