日帰り公営温泉入浴施設での転倒事故に対して示談請求したい
12/20、山梨県の自治体運営の日帰り公営温泉入浴施設で露天風呂の床が凍結していたため転倒し、腕を骨折、病院で手術を含む治療が必要と診断されました。これにより多額の治療費のほか、予定していた旅行のキャンセルなど経済的負担も発生しています。施設管理者の安全管理責任を問い、被害の一部または全部を請求したいと思っています。ただ、訴訟など大事にはしたくありません。今後どのような対応をすればよいか、アドバイスをいただければ幸いです。
いわゆるバリアフリー設計のため歩行通路は緩いスロープしかない施設で、冬季は凍結していることもあるので注意くださいという掲示もあり、それを認識して手すりにつかまりながら極めて慎重に歩いていましたが、考えてみれば凍った斜めのスロープの床面を濡れた足で歩いた場合、注意すれば転倒が防げるかと言えば無理だと思っています。前記の掲示もあったことから施設も凍結は認識しており転倒事故は予見できたと考えております。
ここに記載された事情だけでは施設の管理に問題があったかどうか判断がつきませんので、まずは弁護士に相談に行かれた方がよろしいかと思います。
類似の事案として、ホテルの大浴場の階段部分について、滑りによる転倒防止の安全対策が不十分であるとして債務不履行責任が認められた事例(盛岡地裁平成23年3月4日判決 判例タイムズ1353号158〜166頁)があります。
この裁判例では、ホテルが負っている義務として、「利用者に分かり易く転倒への注意喚起の表示をしたり、床についてさらなる滑りへの対策をしないのであれば、利用者の動線上に手すりを設置したりするなど、利用者が注意を払うことと相まって、トータルとして転倒を防止することができる程度の対策を講じたりすべき義務がある」と判示しています。
そして、「温泉施設全般に関する注意喚起とは別に、分かりやすく本件階段部分に注意喚起に関する表示をすべきであったと思ったと考えられる。しかし、本件階段部分には注意喚起の表示はされていなかった」「また、本件階段部分の床について、ジェットバーナー仕上げにして溝をつけただけで、それ以上の滑りへの対策は特にされていなかったし、本件階段部分付近に手すりも設置されていなかった」等と判示されています。
なお、あなたのご事案(注意喚起の掲示があり、スロープに手すりが設置されていた)との差異には留意が必要です。
このような裁判例も踏まえ、自治体側は対応してくることが想定されます。そのため、話し合いでの解決が可能なレベルか、訴訟提起の可能性•解決見込み等についても、弁護士に直接相談してみるとよいかと思います。
一度、私の方から先方の施設管理者や先方の弁護士と話し合いをしたいと思います。治療期間は痛みを我慢しながら片腕だけの不自由な生活を強いられますので、その期間の慰謝料として1日あたり1万円も含めて請求したいと思います。相手から誠意ある回答が得られない場合は清水弁護士に相談いたします。ありがとうございました。