親の介護問題と子の責任

近々、県外に1人ですんでいる認知症の親の騒音で、ご近所の方から訴訟を起こすと言われました。
色々手を尽くしていますがなかなか上手くいきません。老人ホームに入るのは嫌だと頑なになっています。子供の責任は、どこまでありますか。

認知症の親の監督責任については、近時、社会問題となっています。

まず、認知症を患っている親が他人に損害を負わせた場合、認知症の親は責任無能力として賠償責任を負わない可能性があります(民法713条)。

次に、認知症の親が責任無能力者とされた場合、親を介護している家族に対し、法定の監督義務者にあたるとして、監督責任に基づく損害賠償請求がなされる可能性があります(民法714条1項)。しかしながら、家族であるというのみで、法定の監督義務者にあたる訳ではないとされています。

この点に関し、以下の有名な最高裁判所の判例がありますので、参考になさって下さい。

【最高裁判例】
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=85714
(裁判要旨)
1 精神障害者と同居する配偶者であるからといって,その者が民法714条1項にいう「責任無能力者を監督する法定の義務を負う者」に当たるとすることはできない。
2 法定の監督義務者に該当しない者であっても,責任無能力者との身分関係や日常生活における接触状況に照らし,第三者に対する加害行為の防止に向けてその者が当該責任無能力者の監督を現に行いその態様が単なる事実上の監督を超えているなどその監督義務を引き受けたとみるべき特段の事情が認められる場合には,法定の監督義務者に準ずべき者として,民法714条1項が類推適用される。
4 認知症により責任を弁識する能力のない者Aが線路に立ち入り列車と衝突して鉄道会社に損害を与えた場合において,Aの長男Y2がAの介護に関する話合いに加わり,Y2の妻BがA宅の近隣に住んでA宅に通いながらAの妻Y1によるAの介護を補助していたものの,Y2自身は,当時20年以上もAと同居しておらず,上記の事故直前の時期においても1箇月に3回程度週末にA宅を訪ねていたにすぎないなど判示の事情の下では,Y2は,民法714条1項所定の法定の監督義務者に準ずべき者に当たらない。

【参考:民法】
第七百十三条 精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は、その賠償の責任を負わない。ただし、故意又は過失によって一時的にその状態を招いたときは、この限りでない。
(責任無能力者の監督義務者等の責任)
第七百十四条 前二条の規定により責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
2 監督義務者に代わって責任無能力者を監督する者も、前項の責任を負う。

ご回答ありがとうございました。
肋骨を骨折し、入院した後一人暮らしは、難しいと判断し老健にお世話になっていましたがコロナ化で面会も出来ず施設に騙されて入所させられたと記憶がすり替わってしまい家に帰ると押し切って帰ることになってしましました。とはいえご近所の迷惑もあるのでケアマネさんや地域のサービスを利用させてもらい、できることをしたいと思います。
同じような悩みをお持ちの方にも参考になっていただけたらとおもいます。