占有離脱物横領。迷惑料を請求できるか。

【相談の背景】
先日、某飲食チェーン店にショルダーバッグ(時価総額9.5万円程度)を置き忘れ、それを店長に横領されました。
現在、警察への被害届は提出済みで、占有離脱物横領として捜査が行われており、先日示談を申し込まれました。

示談の内容としては、以下の通りです。
・ショルダーバッグ及びその中身の新品価格での弁済(約18万円)
・車の鍵交換の工賃など(約7万円)
・会社寮の鍵交換とその工賃(約20万円)
の計45万円
いずれも見積もりを取り、弁済額としては納得しています。

ただ、以下の通り、時間や労力などのコストを相当費やしており、弁済のみでは納得できません。

・当初、店長が虚偽の申告をしており、問い詰めるのに約8時間の時間を要した
・財布やキーケースは本革で製造された1点物であるため、同じ物の購入が難しい
・キーケースは兄夫婦からプレゼントされた思い入れの深い大切な物であった
・被害品と同等品を再購入しに行くのに時間や交通費を要する
・警察での被害届および調書作成で3日に分けて計9時間程度取られている
・会社寮の鍵交換について、勤務先の役員への説明する手間が生じた。また本件ついて、役員からかなりお叱りを受けている。(置き忘れた私にも一定の過失があることは承知しています)

以上から、被害品の弁済だけではなく、一定の迷惑料を請求したいと考えております。
ただ、相手方は本件で失職しているようで、弁済額以上の支払いは難しいという旨の発言がありました。

【質問1】
この場合、弁済料に加えて迷惑料を示談金として請求することは可能でしょうか?

【質問2】
また、迷惑料を請求できる場合、いくらくらいが妥当でしょうか?
相場というものはないようなのですが、最低でも3-8ま万円程度を考えています。
今回のケースの場合、この金額は違和感のある金額でしょうか?

お忙しいところ恐縮ですが、どうぞよろしくお願い致します。

占有離脱物横領罪も犯罪であるため、不法行為に基づく損害賠償請求として、慰謝料請求をすることは可能と思われます。
ただし、示談による支払も話し合いによる解決の一種のため、店長に支払資力がない場合には、示談に至らない可能性もあります。

なお、店長は某飲食チェーン店に雇用されており、店長は被用者、某飲食チェーン店を経営する会社は使用者の関係にあるものと思われます。
その場合、某飲食チェーン店を経営する会社に対し、使用者責任に基づく損害賠償を請求できる可能性があります。
そこで、視点を変えて、某飲食チェーン店を経営する会社に使用者責任に基づく賠償を求めていくことも考えられます。
(使用者責任に基づく賠償を求められた会社から店長に対し、会社に迷惑をかけないよう、あたなと誠実に交渉・賠償するように話が行く可能性もあります)。
ただし、某飲食チェーン店側には、顧問弁護士の方がいらっしゃるでしょうから、その方が代理人として連絡・交渉窓口になる可能性もあり、法律的な議論を要する可能性もあります。そのような場合には、この簡易な相談と回答しかできない掲示板では限界ですので、お住まいの地域等の弁護士に直接相談し、適切なアドバイスを受けることもご検討下さい。

【参考:民法】 
(使用者等の責任)
第七百十五条 ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
2 使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。
3 前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。

清水先生

ご返信遅くなり申し訳ございません。
わかりやすく具体的なアドバイスをありがとうございます。

参考にさせていただきます。
ありがとうございました。

岡村