確定死刑囚が「絞首刑は憲法に違反する」として訴訟を提起する事は可能なのか?
先日、絞首刑による死刑執行は残虐な刑罰を禁じる憲法などに違反するとして、確定死刑囚3人が国を相手取り、絞首刑による執行の差し止めなどを求める訴訟を起こしました。
原告らは絞首刑を、「拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる」とする憲法36条や「何人も残虐、非人道的、品位を傷つける刑罰を受けない」とする国際人権規約に反すると主張しています。
しかし、この件について疑問に思いました。
原告の死刑囚らは、自身の裁判の上告審で、既に最高裁から、「現行の絞首刑は憲法に違反しない。」との判決(判断)を受けているのではないですか?
(そうでなければ最高裁は死刑判決を出さない。)
それにもかかわらず、既に最高裁で審理・審判済みの「死刑は憲法に違反するか」論争を、再び別の裁判として提起する事は可能なのですか?
疑問に思ったので、よろしくお願いします。
ご指摘の点についてですが、まず最初に上告審までに判断されるのは有罪を前提とするならば死刑か死刑以外の刑を受けるかという量刑の問題であるということです。
死刑にするということと、死刑の方法について問題視するというのはレベルが違います。
死刑が合憲であるという前提としても、仮に絞首刑が残虐な方法であって憲法に違反するならば絞首刑によっては死刑にすることができません。
例えば薬を飲ませることによって死に至らしめる方法は残虐ではない、となるかもしれませんので、この方法なら死刑を行えるということになります。
そのため、死刑にすべきではないということと、死刑の方法を絞首刑にすべきではない、という話は少し段階が違う話となると思います。
ご回答ありがとうございます。
そうなのですね。
それならば、既に絞首刑の方法により死刑執行済みの死刑囚の遺族が、
「絞首刑により死刑執行をしたのは憲法に違反するものだったので、国は損害賠償・慰謝料を支払え。」
と訴訟を提起する事も可能なわけですか?
考えたことはありませんが、理論的には可能かもしれません。
もちろん裁判所が認めるかどうかは別になりますが、国家賠償請求の理屈としては最低限たつのかなと思います。
ご回答ありがとうございます。
仮にその主張が認められたならば、これまで国が行なってきた死刑執行は全て違憲だったという事になりますね。
そうかもしれないですし、時代に応じて、当初は合憲であったものが次第と違憲となるということはありうるので、必ずしもそうとは限りません。
終わります。