犯罪人名簿の照会について
交通事故以外の罪で逮捕され、略式起訴となった場合、犯罪人名簿に載ることを知りました。これは、履歴書などに賞罰欄があった際の罰にあたると認識しています。また、犯罪人名簿への登載確認は、選挙や法令に関すること等、限定的だと認識しています。
ここで質問ですが、例えば、役所や消防士採用試験、教員採用試験等の地方公務員試験を受験する際、採用側の自治体は、本籍地の自治体に照会をかけ、情報を得ることができるのでしょうか。また、すでに採用されていた場合、懲戒処分の根拠となり得るのでしょうか。
公務員採用の欠格事項の場合には、法律上の根拠があるので、前科照会できます。全部の役所が全部の採用について照会しているかはわかりません。
職員についても、失職の要件となりうるので、照会できます。これも、全部の役所が全部の職員について照会しているかはわかりません。
欠格条項の2に、
「禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまでまたはその執行を受けることがなくなるまでの者」
となっており、いわゆる略式起訴はこれに当てはまりませんが、照会できるのでしょうか。
欠格条項にあてはまらない懲戒免職基準は各自治体が判断することになると思いますが、照会をかけられた自治体は、何の法令をもとに、回答するのでしょうか。
前科照会の根拠条文は、欠格事項を定める公務員法等だとされています。
例地方公務員法
第一六条(欠格条項)
次の各号のいずれかに該当する者は、条例で定める場合を除くほか、職員となり、又は競争試験若しくは選考を受けることができない。
一 拘禁刑以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者
照会の範囲は、「その法律の欠格事由に該当する前科があるかないか」です。
失職の場合についても規定がありますので、これを根拠に照会できると思います。照会の範囲は、「その法律の失職事由に該当する前科があるかないか」です。
地方公務員法
第二八条(降任、免職、休職等)
4職員は、第十六条各号(第二号を除く。)のいずれかに該当するに至つたときは、条例に特別の定めがある場合を除くほか、その職を失う。
懲戒の場合は、
公務員懲戒理由の関係で端的に前科があったことを理由とするものは知りませんが、
https://www.jinji.go.jp/kisoku/tsuuchi/12_choukai/1202000_H12shokushoku68.html
法令の根拠が無い場合に、職員の特定の前科を照会しようとすれば、刑事確定訴訟記録法で調べることになると思います。その他、対象者からの聞き取り、法廷の傍聴、警察への問い合わせなどで把握していると思われます。これは私企業と同じです。
前科照会の詳細については
前科登録と犯歴事務
という本が詳しいので、参照してください。
上記の第十六条2の二に刑事事件で起訴された場合とあるので、略式起訴も前科照会の法的根拠となりうるということでしょうか。
なお、略式起訴について、公務員の場合、職場への報告義務はあるのでしょうか。