有印私文書偽造はどこからですか?
エコキュートの満了日が来ていたのですが嫁が勝手に契約更新し私の口座から引き落としされている。
私には契約更新の連絡はありませんでした。
契約書のサインは私が行っていないため嫁が勝手に書いたと思われます。
このように勝手に契約更新しサインもしていないのに契約が結ばれるものでしょうか?
引き落としを止める方法はあるでしょうか?
有印私文書偽造に値しますか?
メーカーに確認したところ解約書類に私の名前でサインし、押印されていると聞きました。
私には一言も承諾なく嫁もしくは他のものがサインと押印している状況です。
夫婦は互いに日常家事についての法定代理権を有します。
法定代理権とは、代理権を与える契約をしていなくても最初から当然に持っている代理権のことです。
電気供給契約の更新は日常家事に含まれ、配偶者に代理権があるので、有印私文書偽造にはあたりません。
引き落としを止めるには改めて解約手続きをする必要があります。
民法761条本文に「夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。」とありますので、本当に奥様がなさったならば、契約は有効に成立していると考えられ、今から引落しを止めるのは難しいでしょう。
署名・押印については、理論上有印私文書偽造罪が問題になり得るとは言えます。しかし、署名の代行を認める性質の文書と判断されると成立しません。また、そこをクリアしても、実質上、紛争が家庭内のものにとどまると判断されると、立件されないことが多いでしょう。
別居しており家(敷地内)にも入らせてもらえない状況であっても有印私文書偽造罪に該当しないということでしょうか?
きのこ様が直接作成したものと扱われる文書であれば、有印私文書偽造罪の問題になります。しかし、文書の性質上、代筆しても構わないものであれば、名義を偽ったわけではないとされ、犯罪は成立しません。
民法761条については、「夫婦」との文言、夫婦の内部関係は第三者に判断できないこと、第三者に「予告」することにより責任を免れ得ること(民法761条ただし書き)等から、別居状態であっても契約は成立するものと考えられてしまうでしょう。
では逆に私が契約中の電気、水道等の契約を解約しても問題ないと言うことでしょうか?
契約(解約)が対外的に有効かという問題と、夫婦間で損害賠償義務が生じるかは別問題です。対外的には有効という点では「問題ない」でしょうが、夫婦間で損害賠償義務が生じるか否かは保証の限りではありません。