入居した賃貸マンションの光回線についての虚偽記載です。管理会社への対応方法を教えてください。
賃貸マンションの光配線をメインにしたネット環境の記載についての御相談です。
よくある、「光【配線】は不可能だがVDSLでの光回線使用ならば可能なので『フレッツ光(別途契約)』の記載が虚偽にあたらない」という事例でもないと考えます。以下、事の次第です。
夏に該当マンションに転居してきました。転居にあたっては不動産屋を利用しましたが、私がいくつかピックアップした中でこちらに決め、仲介してもらった形です(したがって不動産屋の表示違反を訴えるのは難しいと考えました)。
引っ越し後、移動体通信業者(以下、携帯電話会社)を通じてWi-Fiのために光配線の申し込みをし、携帯電話会社からNTTの情報によれば開通可能見込みとの返答を得て、もともとの電話回線のパイプなどを使用したごく一般的な開通工事を依頼しました。9月初旬です。
当日下請けの技術者から、試行錯誤しても開通が難しい旨の説明を受けた為、時間がかかるが調査をした方がいいとのことでNTTの開通調査を申し込みました。技術者を一旦帰し、管理会社にその旨の電話を掛けたところ、「こちらの経験則では技術者の力不足だと思う。担当を別の人間にしてもう一度来てもらっては」「(私の疑問いくつかに対して)築年数がそこまでないのであり得ない。私以外からはそういった報告は受けたことがない」との返答でした。
先日あらためてNTTから調査が入り、前述の技術者ではない方がマンションの光配線の分岐部分や1階の基盤まで確認し、写真を撮ってくださり、説明がありました。
いわく、基盤から光配線の線自体は各階の分岐まで伸びている。ただしそこから数本に分かれている全てがどこにも繋がっておらず、そこで止まっている。私の居住階だけでなく上下の階も一戸も光を引けていない。あけたり、繋ごうとした形跡はあるが、どの部屋にも居住エリアのモジュラージャックまで伸びるパイプが存在しないかもしれないとの返答でした。
次の段階は壁に穴を開ける大掛かりな調査になり、また開けてももちろん配線できる保証はないため、調査員の方を帰してから管理会社に電話を入れました(調査員の方は下請けの為、管理会社と関われないとのことだったため)。
管理会社の担当者からは、「もちろん穴を開ける工事はできない」「実は9月の最初の報告から今日までの間に新規で引っ越してきた人から同様の連絡を受けた。ただしこちらとしてはNTTの開通しましたという報告をそのまま記載したので落ち度はないと思う。申し訳ないけどお詳しいようなので従来のVDSLなどで使用してほしい」との返答で、誠意あるとは程遠い対応でした(余談ですが、この際、新規で越して来られた方の階や、その人は不動産業者を通じての連絡だったことなど、聞いていない個人情報を流暢に喋られたことに不信感が募りました)。
さて、この時点では判明していなかったのですが、後日改めて携帯電話会社から受けた説明によると、「VDSL形式で利用する固定電話の差し込み口のモジュラージャックの上部あたりが完全に切れている為、VDSL形式でも開通が不可との報告を(NTT下請けから)もらった」とのことで、完全に光回線を引く手立てがなくなりました。
該当物件は、どの不動産仲介ウェブページにも光回線使用可能と記載されていますし、当然それを重視して転居したこともあり、おおきな憤りとやるせなさ、不安感でいっぱいです。
仕事が繁忙期をむかえるため、すぐの転居は難しく、転居費用の負担以外で管理会社に求められることがあるか、泣き寝入りするしかないのかお知恵を賜りたく相談させていただきました。
不動産仲介業者にも消費者センターにも連絡済みですが、例えば据え置きのWi-Fiルーターの初期費用の負担や、月々の管理費の減額などは法のなかの話になるので、弁護士に相談したほうがよいと回答をもらっています。
法的な理屈としては、民法559条で賃貸借契約にも準用される民法564条、415条の規定に基づき、契約不適合責任による損害賠償請求として、光回線の代替手段としての、据え置きのWi-Fiルーターの費用の一部を請求するということであれば、請求が法的に認められる可能性があると思います。
「光回線使用可能」という説明を受けて、それを前提に賃貸借契約をしたのに、実際には光回線が使用できないので、それによる損害の賠償を請求する、という理屈です。不適合を知ったときから1年以内に賃貸人に請求する必要があります(民法566条)。
「説明義務違反」というのは、光回線使用が不可能であることを売主や仲介業者が知っていたか、知らないことに過失があった場合の話なので、本件では契約不適合責任の方が合致すると思います。
後は、弁護士に依頼して法的に請求するとなると費用がかかるので、費用対効果、経済合理性の問題になるかと思います。