賃貸の住宅の退去要求について

賃貸のアパートに1986年頃より住んでいる両親(86)と数年前より同居しています。昨年、急に大家さんが土地を売った事で大家さんが変わりました。
新しい大家さんは今住んでいる家を倒し平地にしたいらしく、私達に退去を要求してくるかと心配していましたが、後2年くらいは、住んでいても良いと言われていました。
しかしながら先月、2年を待たずして来年の3月までには退去して欲しいと急に言われました。
新しい住まいの敷金礼金と引っ越し費用は全て出すとの話しで良い話のようですが、両親にとっては高齢の上、環境が変わる事への不安とかかりつけの病院から遠くなること、楽しみの一つの買い物も不便になるなど、なかなか良い家も見つかりません。
また引っ越しすれば、新しく買わないといけない物も出てくるもので、出費は免れないと思います。
このような場合、大家さんにはこれ以上金銭的には要求出来ないものでしょうか?
因みに私の収入はパートなので、60歳の昨年賃金も下がり、貯蓄はないです。
宜しく知恵をお貸し下さい。

まず、借家人の保護の観点から制定された旧借家法、借地借家法という法律が存在し、大家(賃貸人)側が賃貸借契約の解約や更新拒絶をしようとしても、当然に認められるわけではなく、解約や更新拒絶に「正当の事由」が存在する必要があります。
 あなたのご両親としては、大家(賃貸人)側の立ち退きの要求には、「正当の事由」が認められないと主張していくことが考えられます。
 そして、この正当の事由が認められるか否かの判断要素の一つとして、いわるゆ立退料の申出•支払という財産上の給付が挙げられます。あなたのご両親としては、転居の条件として、立退料の増額を交渉していくことも考えられます。
 なお、1986年頃から居住して来た経緯、あなたの高齢のご両親がこれからも建物を使用する必要性、建物の現況等の事情も考慮して行く必要があるかと思います。
 いずれにしても、いろいろな事情を考慮の上、判断していく必要があるケースと言えます。新しい大家側の主張を鵜呑みにせず、ご両親の利益の観点から冷静に検討なさって下さい。
 立ち退きの要否、適切な立退料の額、適切な解決のために取るべき手続き等、ご自身では適切な判断がつきかねる場合には、賃貸借契約書、入居している建物の状況が確認できる写真などを持参の上、お住まいの地域の弁護士に直接相談してみることもご検討下さい。
 なお、1986年頃から賃貸アパートに居住という事情からすると、借地借家法ではなく、旧借家法が適用される事案かもしれませんので、直接相談する弁護士に確認してみて下さい。

(参考)
•旧借家法第1条の2
建物の賃貸人は自ら使用することを必要とする場合其の他正当の事由ある場合に非ざれば賃貸借の更新を拒み又は解約の申入を為すこと得ず

•借地借家法第28条(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)
建物の賃貸人による第二十六条第一項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。

ありがとうございました。参考にさせて頂き両親と相談致します。