店舗の立退き要求をされた場合について。

40年間営業しているスナック店舗の立ち退きを要求された場合は、どのように交渉したら良いでしょうか?
ビルでは無く、平屋的な2階建の1階が店舗。

建物が、約50年以上程になる経年劣化による、外壁のひび割れからの壁が剥がれてきていたり、屋根や、2階は全く使用していないので、窓枠も木がボロボロ、耐震も無いので、危ないとの事。
修理や耐震をするには、全て壊さないと出来ないぐらいの複雑な水道管や、ガス管となっているので、何百万となり、簡易に直せる金額では無いので修理が出来ないとの事。
滞りなく賃料を払っているのに、直して貰えない状況です。
昔は、周りにも飲食店が有ったのですが、今は、うち1件だけとなっています。

周りの店(4.5件)も一緒に潰して何かを建てるつもりだと思うのですが、今は何も考えて無く、今の状況を伝えに来たとしか言わないのですが…
立ち退き理由として、経年劣化、耐震の事など言ってきてる段階だと思います。

こちらとしては、まだまだスナックを続けて行きたい事も伝えてますが、、、移転する金額もないし、移転したとしても、今より賃料は高くなる事、お客様も離れてしまうだろうし、諸々とお金が掛かってしまうのは、本当に困ります。

劣化写真資料を渡されて、こう言った状態を伝えても、出られないとなると、「買い取ってもらう」「地震など何が起こっても知りませんよ」的なニュアンスでした。
また、次回話をしに来ますと言ってました。
未だ立ち退いて欲しいとかも言われて無いのですが、どのような対応、交渉したら良いでしょうか?

まず、借家人の保護の観点から制定された旧借家法、借地借家法という法律が存在し、大家(賃貸人)側が賃貸借契約の解約や更新拒絶をしようとしても、当然に認められるわけではなく、解約や更新拒絶に「正当の事由」が存在する必要があります。
 あなたとしては、大家(賃貸人)側の立ち退きの要求には、「正当の事由」が認められないと主張していくことが考えられます。
 そして、この正当の事由が認められるか否かの判断要素の一つとして、いわるゆ立退料の申出•支払という財産上の給付が挙げられます。あなたとしては、移転の条件として、立退料の増額を交渉していくことも考えられます。
 なお、立ち退きを検討するにあたっては建物の現況(築50年以上•外壁のひび割れ•壁が剥がれてきている•耐震も無いなど)も考慮して行く必要があるかと思います。
 いずれにしても、いろいろな事情を考慮の上、判断していく必要があるケースと言えます。立ち退きの要否、適切な立退料の額、適切な解決のために取るべき手続き等、ご自身では適切な判断がつきかねる場合には、賃貸借契約書、入居している建物の状況が確認できる写真などを持参の上、お住まいの地域の弁護士に直接相談してみることもご検討下さい。
 なお、細かいことかもしれませんが、40年間営業しているスナック店舗ということですので、借地借家法ではなく、旧借家法が適用されるご事案かもしれません。弁護士に直接相談される際は、あなたのケースに適用される法律についても相談してみるとよいかと思います。

(参考)
•旧借家法第1条の2
建物の賃貸人は自ら使用することを必要とする場合其の他正当の事由ある場合に非ざれば賃貸借の更新を拒み又は解約の申入を為すこと得ず

•借地借家法第28条(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)
建物の賃貸人による第二十六条第一項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。

建物の劣化がひどく、使い続けることが本当に危ないのだとすると立ち退くしかありません。
他方で、まだ使えるという状況であれば立ち退く義務はありません。

築50年以上とのことなので、古いこと自体は確かでしょう。
立退料をもらって立ち退くことを目指すのがいいかもしれませんね。

清水 卓様
ご丁寧な回答ありがとうございます!
この内容は、母が営業している店舗の事です。金銭的な負担事もあり、困ってご相談させて頂きました。

「正当の事由」に関しては、相手側からすれば、経年劣化や、耐震出来ない状況で、営業困難で不安感を煽り、自ら出て行くように仕向けられそうです。

現状の駅近(マイナーな駅ですが)での店舗探しはかなり大変で、近隣の駅近くはかなり高騰してるので、立退料の相場や、交渉条件を教えて欲しいです。

もし、弁護士に相談する場合、こう言った案件の弁護士費用はどのくらいになるのでしょうか?

また、店舗営業の件ですが、敷地内移転含め40年です。
以前10年近く前には、境界線との事で、敷地内20メートル程先の所へ店舗移転させられてます。

その後は、大きくは無いですが、障害者施設を建てられてます。
私的に、立ち退いて貰い施設を広げたいと思ってるかと。

施設を建てられた以降、以前の家主と今の家主(支援施設の方)に、いつの間にか変更となっていました。連絡なく振込口座は以前と変わらず同じで、口座名が支援施設です。
境界線の時にも、家主が変更になって、今回で2回目かと思います。

鬼沢 健士様
ありがとうございます!

店舗立ち退きに関しては、仕方なく思っているのですが、立ち退き料を低価格にされないように、交渉する最低金額とかありますでしょうか?

立退料は一律に決まっておらず、ご事案によって変わって来ます。

ただ、立退料の算定の際、考慮すべき事項としては、例えば、以下のようなものがあります。

•新店舗と現店舗との家賃の差額
•新店舗を借りる際の諸費用(礼金、仲介手数料など)
•新店舗の内装費用
•引越費用
•新店舗の広告・宣伝費用
•移転に生じる減収の補償

これらの事項を積み上げて計算して行くと、ご事案によっては一千万円単位の金額になることもあります(東京の裁判所などの裁判例では、飲食店の立退料として一千万円以上の金額を認めたケースもあります。ただ、ご事案によってはこれを下回るケースもありますので、ご事案毎に精査が必要です)。
 そのため、これらの項目について、どのくらい費用がかかりそうか、見積りを集めたりしてみて、概算を立ててみてもよろしいかと存じます。

弁護士費用は各法律事務所によって異なるため、相談してみた法律事務所に見積りなどを出してもらい比較してみてもよいかと思います。

お母様お一人では上手く説明したり、証拠を集めたりできなさそうな場合には、ご家族がサポートしてあげて下さい。