社宅契約更新日以降の賃料値上げ通知について
住んでいる社宅の更新で不可解に感じることがありご相談があります。
・2022/10月まで、2年契約にて6年間現在の社宅に住んでいました。2022/10/1が更新日でした。更新日まで特段①②③から連絡はありませんでした。
・社宅契約については、①貸主→②貸主と勤務先の仲介会社→③勤務先社宅担当会社→④私の順に何かあればやり取りを行っています。
・2022/10/17に、③勤務先社宅担当会社より『賃料/月を値上げしてほしい、という打診が②から連絡が来た』と連絡がありました。10月分賃料も含め値上げを交渉されています。
・2022/10/21までに値上げに応じるか否か返答がほしい、と③より連絡を受けています。10/21は給与支給日で、給与から社宅費用が天引きされる形で住居費用を支払いしています。
・上記のように、更新日以降に賃料の値上げがなされるのは法務上問題ないのでしょうか?
更新日前に通知があればまだ検討余地はありますが、こんなに急に賃料の値上げ可否について連絡がくるものかと思い驚いています。法務上適切なのかどうか、ご意見を伺いたいです。
補足ですが、賃料値上げの理由は『近年の棟内成約賃料の実績に基づき、当該居室も賃料増額を行いたい為』という理由になります。
まず、請求のタイミングに法的な制限はありません。
次、賃料の増額請求は理由もなしに一方的に行うことはできません。賃料の増額請求が認められる事情については、借地借家法で以下のように定められています。賃貸人側と賃借人側で見解に対立がある場合には、調停や裁判を経る必要があります。
なお、賃貸借契約書に賃料の増額に関する定めがあるかもしれませんので、賃貸借契約書の確認もしてみて下さい。
(借賃増減請求権)
第32条
1 建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
2 建物の借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年一割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。
ご回答頂き誠にありがとうございます。大変参考になります。
・賃貸借契約書に賃料の増額に関する別段の定めはありませんでした。
・賃料値上げの理由は『近年の棟内成約賃料の実績に基づき、当該居室も賃料増額を行いたい為』という理由になります。上記条文に基づくと、適切な理由のように感じますが、適法でしょうか。
・上記と関係しませんが、家賃の増減分を管理費の増減分で調整する(家賃10000円/月分増を、管理費10000円/月分減で補う)交渉を行うのは、特に法律上問題ないでしょうか?
・賃料値上げの理由は『近年の棟内成約賃料の実績に基づき、当該居室も賃料増額を行いたい為』という理由になります。上記条文に基づくと、適切な理由のように感じますが、適法でしょうか。
→ 土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により•土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により:該当しないように思われます。
近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったとき:該当するか疑問(あなたの会社社宅の成約賃料があがっているだけの可能性あり、近傍同種の建物の賃料と比較して現在の賃料が不相当となったといえるか疑問、近年の棟内成約賃料の実績のデータ•根拠資力が何ら示されていない等)
・上記と関係しませんが、家賃の増減分を管理費の増減分で調整する(家賃10000円/月分増を、管理費10000円/月分減で補う)交渉を行うのは、特に法律上問題ないでしょうか?
→ ご質問の趣旨がわかりかねますが、あなたの方でこのような交渉をなさりたいのであれば、法的には可能だと思われます。
あなたの方で了解しなければ、会社は一方的に賃料増額はできません。その場合、会社が調停や訴訟まで起こしてくるのか、また、あなたの方で調停や訴訟までするつもりなのかを考えておく必要があるかと思います。
ご回答頂き大変参考になりました。心より御礼申し上げます。
最後に一点質問があるのですが、
『更新日より後に通知した賃料値上げについて、その後数月経過した後に、更新日まで遡って賃料を支払うことを認めたor認めなかった』ような裁判の例はご存知でしょうか?
もしご存知でしたらご教示頂きたいです。
ご回答頂き、誠に有難うございました。
ご回答頂き大変参考になりました。心より御礼申し上げます。
最後に一点質問があるのですが、
『更新日より後に通知した賃料値上げについて、その後数月経過した後に、更新日まで遡って賃料を支払うことを認めたor認めなかった』ような裁判の例はご存知でしょうか?
もしご存知でしたらご教示頂きたいです。