紙幣を故意に破損・汚損する行為は、違法ではなくても、「権利の濫用」や「公序良俗に反する行為」に該当?

紙幣を故意に破損したり汚損したり行為は、
違法ではありませんね。

しかし、国立印刷局は、そのような行為について、

「法令上、直ちに違法な行為とは言い切れませんが、皆様が傷みの激しいお札や、本物にあるはずのない書込みや印字がされている変なお札を手にしてしまった場合、偽札かどうかの見分けがつきにくくなります。また、ATMや自動販売機で使えなかったりするなどのトラブルのもとになります。 お札を切り刻んだり、燃やしたりして損傷する行為はもちろんのこと、ちょっとしたいたずら程度と思われる行為も、お札を使う場面では大きな支障となることがあります。お札はみんなで使うものですから、大切に使ってください。」

との見解を示しています。

<引用元>
https://www.npb.go.jp/ja/intro/faq/

これを読んで思ったのですが、
紙幣を故意に破損したり汚損する行為は、
違法にまでは該当しなくても、
「権利の濫用」もしくは「公序良俗に反する行為」に該当はしないでしょうか?

疑問に思ったのでよろしくお願いします。

法律家は、「要件」「効果」を考えます。Aという要件が満たされるからBという効果が発生する(しない)、という積み重ねです。
権利の濫用という要件についても、満たされると所有権に基づく請求が認められない等の「効果」との関係で考えます。
公序良俗に反する行為についても、契約が無効になるという「効果」を考えます。
逆に言うと、「効果」を考えることなく「要件」に該当するか否かを議論することは、法律実務上は、意味がありません。
「権利の濫用」「公序良俗違反」は、どちらも「要件」の方なので、想定される「効果」なしに単独で議論されることはありません。

ご回答ありがとうございます。
なるほど、そうなのですね。

それでは、ご指摘の点を踏まえて、
本質問について質問の仕方を変えます。

新たな質問は、こうです。

AとBが次のような契約を交わしました。
「AとBがジャンケンをして、
負けた方が自身の所有する千円札を破る。」と。
しかし、いざジャンケンをし、Bが負けた結果、
Bは次のように主張し始めた。
「紙幣を破るという行為は公序良俗に反する行為なので、
この契約は無効である。」と。
このBの主張は法的に認めらますか?

いかがでしょうか?
この質問であれば、
「要件」「効果」の両方を満たすと思うのですが、
この質問の答えは、どのようなものになるでしょうか?

よろしくお願いします。

類似の判例もなく、学説も議論していないと思われる論点ですので、完全な私見ですが、
ジャンケンでかけ事をしている点で公序良俗違反認定がされるものの、自己の所有する紙幣を破ることを目的とすること自体は公序良俗違反とはされないと思います(所有権の絶対性)。

ありがとうございました。