憲法12条のいう「権利の濫用」と、民法1条のいう「権利の濫用」は、両者とも同じものを指している?

日本国憲法第12条では、
「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、 これを保持しなければならない。 
又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、 常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。」
と定められています。

ここでいう『(権利の)濫用』とは、
民法第1条にて
「権利の濫用は、これを許さない。」
と定められているところの
『権利の濫用』
と同一の概念を指しているのですか?

疑問に思ったので、よろしくお願いします。

同じとする説と若干ずれがあるという説があります。
濫用は通常、「もっぱら他者の権利侵害を目的として権利などを行使すること」を意味するのですが、民法の権利濫用は、それに限定されない傾向があるからです。

ご回答ありがとうございます。

若干ずれがあるという説の場合、
指し示す範囲としては、
憲法12条のいう「権利の濫用」より
民法1条のいう「権利の濫用」のほうが
広い概念を指しているということになるわけですか?

憲法12条のいう「権利の濫用」
・・・「もっぱら他者の権利侵害を目的として権利などを行使すること」

民法1条のいう「権利の濫用」
・・・(憲法12条のいう「権利の濫用」)+(他者の権利侵害を目的としない「権利の濫用」)

ということになるのでしょうか?

おそらくそうじゃないかと思います。それぞれの論文まで当たれなかったので、推測ですが。

ちなみに、民法1条3項の「権利の濫用」は、かなり広い概念です。
例えば解雇が法律上無効かどうかは、昔は判例は解雇が民法1条3項の「権利の濫用」かで判断していました。
じゃあ判例は解雇が違法な目的で行われたかだけ見てたのかというとそうではなく、解雇の理由が相当かとか、減給や注意でいいのかどうかとか、経営上の必要性があるかどうかとか見て判断していました。
解雇の例が典型ですが、民法1条3項の「権利の濫用」はかなり広い概念になっていて、定義や外延を定めるのが難しくなっています。