婚姻費用審判の即時抗告について

婚姻費用の審判がおりました。
一部裁判官の誤りがあり、抗告して主張したい気持ちもありますが、精神的に疲れており迷っています。

私は抗告しないが相手が抗告してきた場合、それに便乗して私も自分に有利な変更となるよう主張できるのでしょうか?

婚姻費用の審判に不服がある場合、高等裁判所に即時抗告という不服申立てをすることができます。

だだ、家事事件手続法では、附帯抗告や不利益変更禁止の原則に関する規定が設けられていないため、注意が必要です。

すなわち、

相手方のみが即時抗告した場合、それに便乗して不服申立てをする(附帯抗告する)ことはできないと考えられています。

また、即時抗告がされた場合、家事事件手続の公益性に鑑み、高等裁判所は後見的な立場から、即時抗告した者の有利不利にかかわらず、自らが正しいと考える裁判をすることができると理論的には考えられています(即時抗告した場合、抗告審である高等裁判所で、家庭裁判所における審判の内容よりも有利な裁判のみならず、不利な裁判がなされる可能性があります)。

なお、附帯抗告できなくても、相手が即時抗告した場合には、自分に有利に(相手に不利に)判断される可能性があるなら、それでいいやと思われる方がいらっしゃるかもしれません。

しかしながら、それはあくまで理論的な話ですし、自ら即時抗告しないのであれば、家庭裁判所の審判に特段不服なところはないのではないかとも思われかねません。さらに、即時抗告には厳格な期限(※)が定められているところ、即時抗告を相手任せにした場合は、自ら即時抗告する場合に比して、十分な準備ができないリスクもあります。

このように、即時抗告については、見立てやリスクなどを踏まえた上で、慎重に検討する必要があるでしょう。

※即時抗告は、審判の告知を受けた日から2週間以内にしなければならないという不服申立期限が定められているので、その点もご注意下さい。

清水先生、ご丁寧にありがとうございます。

相手が即時抗告しなければ、私は今の審判を受け入れようとも思いますが、
もし相手が即時抗告したら、私も私の主張をするため即時抗告した方が良いでしょうか。

確実性の観点からすれば、あなたの方も即時抗告をしておくのが無難かと思います。即時抗告には期限があるので、気をつけて下さい。

早速のご回答ありがとうございます。
よくよく検討したいと思います。