匿名アカウントへの侮辱(名誉感情侵害)について

こちらのサイトやTwitter、ネットの記事などで、
「社会的な活動をしていない匿名アカウント(ハンドルネーム)への侮辱は、侮辱罪にならない」と書かれているのをよく見ます。

しかし、匿名アカウントへの侮辱でも、名誉感情の侵害は成立する可能性があることを知りました。

しかしそれなら、上記の場所で、「匿名への侮辱罪は成立しません」の後に「ただし、名誉感情の侵害は成立する可能性があります」とは書かれていないことがほとんどという印象なのですが、なぜなのでしょうか?

理論上は名誉感情の侵害は成立するが、滅多に成立しないから、などの理由でしょうか?

今のところ、侮辱罪が成立するには社会的評価の低下が必要であって、名誉感情の侵害だけでは成立しないという見解が一般だからです。
侮辱罪の話だけするのであれば、それで十分ですし、余計なこと書くとややこしくなりますし。
社会的評価が低下していないが名誉感情が侵害されている場合は、今のところは民事の問題にしかならないと思います。

なるほど、ご回答ありがとうございます。

Twitterで、「私の投稿は(社会的な活動をしていない)ハンドルネームに向けたものなので、侮辱罪は成立しませんw」と余裕を見せる投稿をしている人を見かけますが、民事では何らかの罰を受ける可能性があるということですよね?

社会的な活動をしていないハンドルネームへの侮辱で、名誉感情の侵害が成立した事例は少ないのでしょうか?

>Twitterで、「私の投稿は(社会的な活動をしていない)ハンドルネームに向けたものなので、侮辱罪は成立しませんw」と余裕を見せる投稿をしてい>る人を見かけますが、民事では何らかの罰を受ける可能性があるということですよね?

発信者情報開示を受けたり、損害賠償責任を負わされたりすることがあります。

>社会的な活動をしていないハンドルネームへの侮辱で、名誉感情の侵害が成立した事例は少ないのでしょうか?
純粋にハンドルネームへの侮辱だけで民事責任を認めた裁判例は私は知りません。
ただ、社会的相当な範囲を逸脱した場合や、当該ハンドルネームが本人の人格に密接に結びついている場合はハンドルネームへの侮辱でも民事責任を認めるべきだという論文や書籍などはありますので、いつ認められてもおかしくはありません。

一点補足すると、侮辱で名誉感情を毀損するケースは、一般に侮辱罪で要求される公然性の要件は不要とされています。
そのため、ネット書き込みに限らなければ、例えばタクシー内で乗客から運転手に対面で行われた侮辱的発言について損害賠償責任を認めた大阪高判昭和54年11月27日判時961号83頁があります。
それと同視できるほどの侮辱を受けたのであれば、ネットでハンドルネームでの侮辱でも、民事責任を負う余地は十分あります。

ありがとうございます。非常にためになりました。

すみません、最後にひとつだけ確認させて下さい。

結論としては、
Twitterで「私の投稿は(社会的な活動をしていない)ハンドルネームに向けたものなので、侮辱罪は成立しませんw」と余裕を見せる投稿をしている人は、民事で発信者情報開示を受けたり、損害賠償責任を負わされたりすることがある。
しかし、現時点ではそれが成立した事例は少なく、すくなくとも佐藤先生はご存知無い。

という認識でよろしいでしょうか?

それで合っていると思います。

ありがとうございます。