リフォーム工事請負契約に関するキャンセル料減額交渉の可否について

戸建て住宅のリフォームに際しA社に見積もりを依頼、数度の打ち合わせの後、詳細設計に入る段階で工事請負契約を結び作業が始まりましたが、銀行のローン審査が通らず一旦中断しました。(契約書には「ローン特約」の記載は無し)
半年後くらいに別の銀行で審査が通り再開しようとした所、先方の多忙を理由に、打ち合わせの再開が少なくとも半年後から、工事完了予定は1年以上(契約書に記載の工期からの計算だと2年以上)先になる、と言われました。
再審査における遅延期間分も含め完成を急ぐ必要が有った為、別のB社にて設計と施工を行いましたが、工事完了後にA社より連絡が有り、契約の不履行として契約書に記載のキャンセル料10%を請求されています。
打ち合わせの中断期間の約半年分に関しては当方に責任が有ると思いますが、先客である筈の当方案件について、これを大幅に超えての工期延長については先方の一方的な理由によって生じたものかと思います。
A社からは色々と助言等もいただいていたので何等かの御礼等はしたく考えておりましたが、キャンセル料の減額、例えば半額の5%等での交渉を行うのは法律的に可能でしょうか?

まずは契約書の債務不履行や契約解除の条項がどうなっているかを確認しましょう。
記載内容によっては,本来は,施工業者から工期が遅れる連絡を受けた時点で,施工業者側の「履行遅滞」(本来契約を履行すべき時期に履行をしないこと)を理由に当方から契約を解除することが出来たかも知れません。
その場合,施工業者側の責任により契約が解除となるのでキャンセル料は発生していなかったと考えられます。
以上を前提に,お考えの金額で「事実上」の交渉することは可能ではないかと考えます。

佐山弁護士様
迅速に御回答をいただき有り難う御座います。
助言いただきました契約解除に関する条項を詳細に見てみましたところ、
①契約書の工期に関する箇所には「状況その他の事由による完工期の延長を甲(当方)は了解する」。
②次段の工期変更の記述には「工事期間内に完成できない場合、乙(請負側)は期間の延長を求める事が出来る」。
③約款にも「注文者に対して理由を明示して工期の延長を求める事が出来る」(以上、全て概略を記載)。
とありますが、契約解除に関しては乙側の解除権に関する記述のみで、甲側については先の「違約金10%」(及び一時中止と変更)等の記載しかありません。
乙側の延長や解除を認める一方、甲側の解除に関しては極めて限定的な記述となっており、文面上に於いては先方が「違約金ありき」で話しを持っていけるようになっている気がしますが、今回は先方都合による工期の大幅延長の件が無ければA社への依頼は継続していたと思いますので、その点を踏まえて交渉は試みたいと思います。有り難う御座いました。