この場合誹謗中傷による精神的苦痛の慰謝料請求は可能か
半年ほど前、ネットで知り合ったAとゲームをする中で「タヒね」という言葉を通話越しに言われことが心への大きなダメージとなり、その後もいざこざがあった際のSNS上での私個人宛(直接名前を書いていないため第三者から見ると判断が難しいが時系列のスクショを一通り見ると第三者でも個人宛であることを判断できると思われる)の暴言を未だに定期的に思い出しては苦しくなりふとした時に涙が出てきたり胃が痛くなるなどどこかしらに支障をきたすことがあります。発言やツイートは録画やスクショで保存しており、Aの個人情報も本人から聞いたことがあるため把握しております。
この場合慰謝料は受け取ることは出来るのでしょうか。精神科などでの診断がないと難しいものでしょうか。詳しい方回答お願い致します。
ひどいことをいわれましたね。
心中お察しします。
ただ,この発言が,法律上違法と評価されるかというと難しいように思います。
例えば,誰でも見ることができる状態で誹謗・中傷されたときには名誉毀損,直接でも「殺す」などといわれたときには脅迫と,それぞれ評価される可能性もあり,損害賠償請求ができると思います。
しかし,お話しのような言葉では,そのような評価がされることは難しいように思われます。
回答ありがとうございます。言葉足らずでした。配信上で視聴者もいる場での「タヒね」でしたがこれは名誉毀損に該当しないのでしょうか。
名誉毀損は,不特定・多数陣が認識できる状態で,相手の社会的評価を下げる危険性のある事実を含む発言をする行為です。
例えば,「あいつは泥棒だ。」は泥棒であるという事実を含む発言をしていますので名誉毀損に該当する行為ですが,「あいつは嫌いだ。」は何ら事実を含む発言をしていないので名誉毀損に該当する行為ではありません。「タヒね」には,社会的評価を下げる危険性のある事実を含んでいません。そのため,この発言だけで名誉毀損に該当する行為とはいいにくいと思います。
勉強になります。ありがとうございます。では、そのような言葉でこちらが精神的苦痛を長期間感じている場合(通院などはしていない)、慰謝料などの請求は難しいという捉え方でよろしいのでしょうか?また通院している場合は請求できる可能性はあるのでしょうか?ご教授頂けますとありがたいです。
基本的には慰謝料請求をしても裁判所は認める可能性が低いと思います。
慰謝料請求は,不法行為に基づく損害賠償請求のうち精神的損害の賠償を請求するものです。
そのため,精神的苦痛を受けたことを根拠とするものではなく,不法行為により精神的損害としての精神的苦痛を受けたことを根拠としています。
すなわち,精神的苦痛の前提として,不法行為の成立が必要です。
すると,発言について、憲法上の表現の自由の観点から考えて,不法行為を成立させることに裁判所は慎重にならざるを得ないと考えます。
従って,発言内容が,名誉毀損,侮辱,脅迫,プライバシー侵害などの不法行為を構成しないときには,その発言で精神的苦痛を感じたとしても,慰謝料請求が認められる可能性は低いと考えます。
不法行為の成立が大きいのですね。迅速かつ丁寧な回答を頂いたことで心のモヤが少し晴れました。この度は誠にありがとうございました。