金銭問題で取締役や会社は辞められますか?また勝手に辞めたら損賠賠償で訴えられますか?

親族夫妻の会社の取締役及び仕事を辞めたいが辞めさせてくれない。

社長である親族が病気のため、実質二人だけで、遠方にいる社長の妻と私、私は自宅でのSOHOですが集客し社長の妻に送客する仕事をしています。売り上げが悪く、この数年無給だけでなく私の貯金を補てんしています。

昨年からその社長の妻から「100万円至急送金してくれ」とか「社長の生活費のために社長の口座にお金を振り込んでくれ」と社長に黙って私に借金の依頼を何度もしてくるようになりました。ちなみに親族夫妻が起業するにあたり両家の両親からお金を借りていて返済しておりません。

親族ということと、私がこの仕事を好きだという弱みと私が「NO」と言えない性格であることを熟知しているので、まるで返済不要な「ATM」状態となりました。
借用書をお願いしてもスルーされたので、今この仕事を辞めて縁を切らないと大変なことになると思い、初めて「お金は貸せない」と伝えたところ、誹謗中傷のメールが送られ、精神的にもまいってしまいもう一緒に仕事をするのは難しいと思い「一身上の都合で退職します」と伝えました。

すると、「何ふざけてるの。あなたのためにやっているから辞められるわけがない」言われてしまいました。こんな理由で会社をやめることができるかどうかも知りたいです。

また誹謗中傷のメールにはレスポンスせずに、淡々と引継ぎの作業をすすめていますが、
取締役を解任したり、また、会社の住所を私の自宅の住所となっており、私が仕事を辞めたら本店移転をすることができるかなどを教えていただきたく、二人だけでやっていたので、私が抜けることで仕事が成り立たなくなったら損害外相請求されるかなど、普通の人ではない内容のメールでしたので、何を言ってくるか不安ばかりが先立ちうつ状態になってしまいました。

またこのような泥沼化状態ですので、この夫婦と話すと必ず恫喝か上手く丸め込まれてしまいますので(ある意味マインドコントロールされていましたので)、取締役を外したり、会社移転をしたり、退職することを直接口頭で伝える勇気がありません。このような場合はやはり弁護士さんに依頼した方がよろしいでしょうか。ちなみに、その妻に融通した金額は、約200万円ほどで返済されておりません。というかもう借りたことすら忘れられている状態です。さらに、このことは社長は知らないでいます。
長い文章となり失礼いたしました。よろしくお願い致します。

少なくとも二つやる必要があります。
ひとつは、内容証明で、取締役辞任通知を送付すること、
もいひとつは、知っている取引先に取締役を辞任した旨、
通知しておくことですね。

ご自身で対応するのが難しいということであれば、弁護士に委任したうえで、取締役の辞任と貸付金の返還を求めていくべきと考えます。

お困りの状況、お察しいたします。
まず、会社と取締役との関係は委任契約となりますが、委任契約は法律上、自由に解除できます(民法651条1項)。そのため、ご相談者様が辞任したい場合は、会社に対し、辞任の意思表示をすれば、原則としては、辞任の効力が生じ、会社代表者や株主の承認や決議を経る必要もありません。
辞任の意思表示の有無や時期を争われる可能性も考えられますので、辞任の意思表示は書面で行われるべきと思慮いたします。

なお、会社に不利な時期に辞任がなされた場合は、会社の損害を賠償しなければならないとされています(民法651条2項)。そのため、状況によっては、損害賠償請求等をされる可能性は考えられますが、引き継ぎ等を済ませ、会社の業務にも支障等が生じていないのであれば、会社において損害は生じていないとも考えられますので、仮に請求がなされたとしても、争う余地はあるものと思慮いたします。

次に、取締役を辞任しても、辞任の登記を経ていなければ、事情を知らなかった第三者に辞任を主張することはできないとされておりますので(会社法908条)、辞任についての登記を行う必要があります。会社がこうした登記を行わない場合には、取締役退任登記手続請求を行う必要性も考えられます。

なお、今回の会社の機関設計にもよりますが、取締役会設置会社等であり、取締役が3人以上必要とされる場合には、今回の辞任をもって定足数を割り込むことが考えられます。この場合、新たに選任された取締役が就任するまでの間、辞任をした取締役も、なお取締役としての権利義務を有することになっております(会社法会社法346条1項)。この状態では、登記等も進められませんので、新たな取締役の選任や、仮取締役の選任申立て等も必要になってくることが考えられます。

このように、状況に応じて、法的な判断や対応を求められることが今後予想されます。また、これまでの貸付金の返還請求もお考えになる必要はあるかと思われますので、個別に弁護士にご相談をされ、より詳細なご事情を交えながら、対応についてのご助言をもらいながら進めていくのが良いかと思慮いたします。

各弁護士先生さま、お忙しい中ご回答いただき誠にありがとうございます。ただ今弁護士を探していますが、このようなかなりイレギュラーな事案の場合、どの分野に強い弁護士先生にお願いしたらいいのか悩んでおります。

今回の場合、役員としての地位や会社における手続きが問題となる事案であり、会社法等に関わる法知識や経験が求められます。
そのため、いわゆる企業法務等、会社や事業者の案件を多く扱っている弁護士にご相談されるのが良いかと思われます。