競業禁止について教えてください。
同業他社(人材紹介会社)への転職を禁止する誓約書に入社時にサインしました。違反した場合はそれに相当する損害賠償を負うという内容です。現在、退職して人材紹介会社に勤めております。先日前職から知り合いの企業から依頼された求人で契約が成立しました。人材紹介の特性上、商材【求職者(現職での反響による)の良し悪し】により契約成立の可否が決まることから、前職のお陰ではないですし、損害賠償に値しないと思います。万一、該当する場合、金額はどのような計算になりますでしょうか?そもそも前職には経験者として採用した経緯は棚に上げて、転職したら損害賠償という誓約書が有効なのでしょうか?
まず、競業避止義務を負わせる合意については、労働者の職業選択の自由を大きく制限するものですので、地域や期間などについて制限がなされていない場合には、労働者に対する過度な制約を課すものとして、無効となる可能性が考えられます。
また、仮に競業避止義務に関する合意が有効である場合にも、契約違反があれば直ちに具体的な違約金を支払うなどの定めがなければ、原則として、契約違反による損害賠償を主張する側において、損害の存在を立証する義務を負うことになります。
今回のご質問の事案についても、違約金額の定めまではなかったのであれば、原則として、賠償責任が生じる範囲は、あくまで相手方において生じた損害額となります。
ご記載のように、ご相談者様の就職やその後の労働を通じて、特に前職に損害が生じていないとすれば、損害賠償責任までは負わずに済むかと思われます。
一般論としても、労働者が単に同業他社に転職しただけであれば、通常、損害が生じることはあまり考え難いかと思われます。