業務委託契約解除の損害賠償請求について
ご相談の背景
顧客とA、B2つの補助金の申請代行契約を締結(契約書あり)しました。
A補助金・・・申請すればほぼもらえる
B補助金・・・申請は抽選制で、当選しなければ申請できない(抽選エントリー日が決まっており、複数回ある)
契約書には損害賠償の規定があります
『顧客が本契約を解除する場合、損害を顧客に対して請求できる』
報酬は以下の通りです。
Aの報酬は、月額サポート料(1年間)+申請手続き料 *申請手続き料の支払い時期は補助金をもらった後
Bの報酬も、月額サポート料(1年間)+申請手続き料 *申請手続き料の支払い時期は補助金をもらった後
本来は補助金の代行は着手金(または初期費用)をもらいますが、顧客の希望で着手金の代わりに月額サポート料をもらうことになっています。
契約書上は月額サポート料をもらう期間は2年間としており、そのいつからいつまでがA,B補助金のサポート期間かは明らかになっていません。
しかしながら、契約書締結の前に先方に送った見積書では、『A補助金のサポート料を1年分もらった後、B補助金のサポート料を1年分もらう』と明記しています。
ただし、実際のサポートは2つの補助金を同時並行で行っています。
(A補助金のサポート終了後、B補助金のサポートを行うわけではありません)
状況
A補助金申請後、サポート期間中にもかかわらず、突然顧客より『契約解除、今後サポート料は払わない』旨のメールが来ました。
この時点でB補助金は複数回抽選にエントリーしたものの、当選せず申請にはいたっておりません。
抽選エントリー可能日はまだ複数回残っています。
月額サポート料はA補助金分は全額受領しましたが、B補助金は全くもらっていません。
ご質問の本題
・この場合は、B補助金の月額サポート料のうち既に実際にサポートを行った月分、およびA補助金申請手続き料分を損害賠償として請求可能でしょうか。
(A補助金申請手続き分は契約書の支払期日より数か月早くもらうことになります)
・損害賠償が期日までに支払われない場合、遅延損害金も請求が可能でしょうか。
・損害賠償を先方が支払わない場合は、少額訴訟を行ったほうがよいのでしょうか。
(損害賠償額は30万円未満になります)
以上になります。
よろしくお願いいたします。
詳しくは、契約内容、特に解除や損害賠償に関する定めにもよりますが、正当な理由なき解除によってこちらが得られるべき報酬を得られなくなったのであれば、その分の損害賠償請求をすることは考えられます。
また、相手方が報酬を支払わずに利益を得た部分(本件で言えば、補助金の申請業務等)に関しては、不当利得と構成することも考えられるかと思われます。
損害賠償請求等の構成の仕方にもよりますが、例えば不法行為と構成する場合には、行為時から遅延損害金の請求をすることも考えられます。
さらに、いかなる手段を選ぶべきかですが、少額訴訟は期日が1回のみとされており、早期に結論が出る点で利点はありますが、初回の期日で十二分な立証を尽くしていなければ、請求が棄却される恐れもあります。一方、通常の訴訟を選んだ場合、必ずしも訴訟期日は1回では終わらない代わり、状況に応じて追加立証の機会もあります。
このように、少額訴訟、通常訴訟のいずれも、長所や短所がありますので、いずれを選ぶべきかは慎重に検討されたほうが良いものと思われます。
金額を考えますと、弁護士に依頼した場合、赤字になることも考えられる事案かとは思われますが、その場合でも、具体的な手続きに進む前に、一度は関連資料を持って弁護士に相談にだけでも行き、証拠等を踏まえ、いずれの手段が良いか等の助言を受けておいたほうが安全かと思われます。
返信が遅くなり申し訳ございません。
先生のおっしゃるとおり、法的手段をとる前には一度弁護士さんに相談したいと思います。
ありがとうございました。