正社員からパートになると皆勤手当はなくされるのでしょうか?

先日、正社員として働く彼女がパートになりたいと職場へ申し出したところ、パートになったら皆勤手当をなくすと言われたそうです。彼女は現在9:00~19:00で週5日程しております。それがパートになった場合、勤務時間が9:00~17:00に変わるだけで勤務日数については変わりません。
特に書面でやりとりしたわけでもなく口頭で一方的に伝えられたとのことです。ちなみにその職場の最新の求人情報にはパートでも皆勤手当がつくような記載がされております。
それなのに正社員からパートに変更すると皆勤手当をなくすというのは法律上認められるのでしょうか?

これは「パートタイム・有期雇用労働法」(正式名称は「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」。2021年4月から中小企業にも適用される)の第8条の「不合理な待遇の禁止」の問題です。
同法8条は,雇い主が正社員とパート・非正規労働者とに「不合理と認められる相違」を設けることを禁止していますが,あなたの彼女さんのケースは,皆勤手当てをなくすことがこの「不合理と認められる相違」にあたるかどうかの問題です。
これについては,厚労省が「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針」(通称同一労働同一賃金ガイドライン)というのを出していて,その中で,姓皆勤手当てについて,「通常の労働者と業務の内容が同一の短時間・有期雇用労働者には、通常の労働者と同一の精皆勤手当を支給しなければならない。」としていますので,彼女さんの業務内容が正社員時代と同一といえるかどうかが主に問題になりそうです。
この辺りは他の事情も考慮されますので,確定的なことは言えませんが,とりあえず,厚労省の「同一労働同一賃金ガイドラインの概要」というパンフがありますので(これで検索すれば厚労省HPからダウンロードできます),それを会社に示して,「違法ではないか」と指摘してみてはどうでしょうか。
ちなみに,上記のガイドラインで,差をつけても問題ないケースとしては,正社員については欠勤についてマイナス査定を行って待遇に反映するが,パート労働者については欠勤マイナス査定をしていない場合に精皆勤手当に差をつけた場合が例示されています。
彼女さんの場合正社員との違いが労働時間だけなのかそれ以外にもあるのか,あるとして職務と責任にどのような違いがあるのかで結論が分かれそうですので,疑問であれば,パートに変更後の労働条件・職務内容が分かる資料(パートタイム就業規則など)をもって弁護士に相談されることをお勧めします。