少額訴訟手続の際の相手方名称について
ある商店を対象に少額訴訟手続を検討中です。営業中の商店ですので、住所、電話番号、店舗の名称も明らかですが、経営者の氏名だけが不明です。また店舗についても商業登記があるか否かが不明です。
この場合で、訴状の相手方氏名を店舗の名称のみとしても裁判所で受理して頂けるものでしょうか?
受理しないですね。
個人なら、屋号こと個人名という記載になります。
個人名だけでもいいですが。
個人名は調べたほうがいいでしょう。
法人ではなさそうですね。
訴状には、「当事者及び法定代理人」を記載しなくてはなりません(民事訴訟法133条2項1号)。
その商店が、法人であれば、代表者は法定代理人となります(会社法349条1項など)ので、代表者の氏名を記載する必要があります。ただ、この場合は、代表者の氏名は登記される(会社法911条3項13号など)ので、調査は比較的容易かと思われます。
一方で法人でなかった場合は、その商店を経営している人が当事者になります。このばあい、商店の名前は、その個人の屋号(商法11条1項)となります。
当事者の表示は他の者と識別することができる程度に特定して行う必要があります。そのため、かならず本名で訴えなければいけないわけではなく、通称によって特定することも、その通称によって他者との識別が可能であれば問題はありません。そのため、相手の名称が屋号までしかわからなかった場合であれば、住所と屋号でも訴訟を起こすことは可能な場合があります(もっとも明確性の観点から、通常は「○○商店こと××」のように通称と氏名の併記が好ましいとされています)。