意識障害のある親の離婚について

義母が交通事故に遭い、遷延性意識障害になり、意思疎通が取れないために夫が成年後見人になりました。
義母は現在施設に入居しております。
義母には長年(20年以上)別居状態の夫がおります。
成年後見人の立場から義父に離婚調停を申し立てることは可能でしょうか。
義母の介護、入院費などの負担も大変で、夫婦生活が破綻している義父に義母がなくなったら遺産を半分渡さなくてはならないかと思うと頭を抱えております。
どうかご教授下さい。

お気の毒様です。結論として、離婚手続は可能です。私自身も実例を知っていますが、調停は無理ですので訴訟を起こします。

赤沼康弘・鬼丸かおる編著『成年後見の法律相談〈第3次改訂版〉』(学陽書房,2014年4月)という書籍に可能であることが書いています。

弁護士に依頼をされないと難しいでしょう。裁判所への報告も必要ですので、まずは弁護士にご相談されてください。

赤沼康弘・鬼丸かおる編著『成年後見の法律相談〈第3次改訂版〉』(学陽書房,2014年4月)91頁

【そのため、人事訴訟法上、成年被後見人については、成年後見人が、成年被後見人のために原告として訴え、または被告として訴えられることができるとされています(人訴14条1項本文)。
(中略)
なお、離婚や離縁については、特に本人の意思を重視する必要があるので、成年後見人は、調停申立てをすることができません(家手18条但耆において「離婚及び離縁」の場合を除外)。人事訴訟には原則として調停前置主義の適用がありますが(家手257条1項、244条)、成年後見人は調停手続きを経ずして、離婚の訴え等を提起することになります(家手257条2項但書)。】