当て逃げ犯を特定するためにかかった費用は犯人に求めることができるか?

先週、家族が当て逃げ被害に会いました。当初は被害の日時や場所が特定できずにいました。
ドライブレコーダーを設置していたので、確認しましたが映っていませんでした。
しかし、後日、家族が操作ミスで記録を消したことがわかりました。
犯人が許せず、有料の復元ソフトを購入し、復元作業をして、改めてドライブレコーダーの記録を確認して、
日時場所、犯人が特定できました。
警察に届け出をして、犯人も呼び出されました。
お互いに車の傷は残っており、警察が確認した結果、間違いないということになり、
犯人も気づかなかったが、警察がいうなら…としぶしぶ認めました。
犯人は高齢の男性で「気づかなかった」と主張して、警察もそれなら当て逃げではないと言います。
納得は出来ませんでしたが、私も家族も、しぶしぶですが納得しました。
なので、当て逃げではない。という話は納得しています。

しかし、問題は損害賠償の話です。当然100%犯人が悪いので、修理費用などは全て向こうが払うことになりました。
犯人の保険会社に、犯人特定の経緯を説明し「復元ソフトを購入したので、その費用ももらいたい」と伝えると、それはできない。と言われたのです。
私としてはそもそも当て逃げをしなければ、私が使いもしない復元ソフトを購入する必要もなかったのに、納得できずに何度も話をしましたが、全然相手になりません。
別に慰謝料よこせとかではないです。(もらえるならほしいですけど)

犯人を特定しなければ、全額被害者が負担していたはずです。
犯人特定にかかった費用を犯人に請求するのは合理的なのではないでしょうか?
保険会社からは「保険ではおりない」と言われたので、「じゃ本人に請求すればいいんですね」と聞き直すと
「それはこちらでは答えられない」ということでしたので、犯人への請求を考えています。
かと言って、請求額は数万円なので少額すぎて、弁護士に頼む案件ではないと思っています。
私の行動は妥当なのでしょうか。
それとも、法律の世界では、おかしい行動なのでしょうか。

少額で、くだらない事件ですが、ご回答いただければ幸いです。

請求のためには、不法行為に基づく損害賠償請求という理屈になります。

相手方の過失行為(当て逃げ)と、損害(復元費用)との間に因果関係がある必要がありますが、ご家族がデータを消去したのが原因ですから因果関係が否定される方向でしょう。
また、ご家族の過失行為(データ消去)も原因ですから、過失相殺という話もでてきますので、因果関係の点をクリアしたとしても全額の請求は認められません。

相手方に請求することはご自由ですが、任意に払わない場合にご本人さまでされるとしても訴訟などで争うことは現実的ではありません。

一般的に不法行為があった場合に調査費用を損害賠償請求できるかという問題はなかなか明確な回答が難しいかと存じます。たとえば不貞行為があった場合に探偵に支払った調査費用について損害賠償請求できるかという論点については、認める裁判例もあれば、認めない裁判例もあります。確立した裁判実務があるわけではないため、保険会社としても任意の支払には応じられないということなのだと思われます。

ですので、弁護士を雇うと費用倒れになるということであれば、ご自身で損害賠償請求訴訟を提起されるしかないかと存じます。ただ、今回のケースではご家族が消去していなければ復元ソフトを購入する必要もなかったといえる点も不法行為と損害の相当因果関係を立証しなければならないあなたにとって不利なので、あなたの主張が裁判所で認められる可能性が高いとはいえないかと存じます。

なお、たとえば、不法行為に基づいて損害が生じた場合に損害を回復するために弁護士を雇って訴訟を提起する場合であっても、通常、弁護士費用の全部を加害者側に負担させることはできません。損害額の10%に相当する範囲でしか負担させられないのが通例です。それと似たようなもので、日本の法制度においては被害者は損害を受ける前の状態まで完全に戻すことはできず、損害を回復するためにもコストを負担しなければならないものだと考えていただいてもよいかもしれません。

ご回答と丁寧なご説明ありがとうございます。
お二方とも見解が同じということで、法律素人な私も納得が出来ました。
結局、犯人がわかったところで被害者側が損で、加害者がやり得ということはわかりました。

こんな軽微な案件にもかかわらず、
弁護士の方々にこんなに早く対応いただけるとすごく安心します。
法制度への不満は解消できませんが、
ご親切なお二方のアドバイスのおかげで
モヤモヤがとれました。
請求は諦めて、キッチリ修理してもらいます‼️