賃貸契約に関わる連帯保証人の支払い範囲

不動産賃貸契約の連帯保証人に関する相談です。借主が原状回復費用を払う姿勢を見せず、連帯保証人に支払いを管理会社から求められました。借主は支払い能力があるのにも関わらず、連帯保証人は支払わないといけないのでしょうか。また、管理会社から、連帯保証人が支払いをする場合、借主が支払いをした「敷金」は適用されず、全額負担と聞きました。法律的に正しいのでしょうか。ご意見を頂けますと幸いです。宜しくお願い致します。

敷金について以下のように契約書にはあります。

甲(不動産会社)は、本物件の明け渡しがあったときは、明け渡し後1か月以内に敷金の全額を無利息で乙(借主)に返還しなければならない。但し、本契約から生じる乙の債務の不履行が存在する場合には、当該債務の額を敷金から差し引くことができる。この場合には、甲は、敷金から差し引く債務の額の内訳を乙に明示しなければならない。

単なる「保証人」ならば、借主に支払い能力があるからと主張して支払いを拒否できる可能性があります。
ただ、「連帯保証人」の場合は、借主の財産状況に関係なく、請求されたら拒否できないというのが、民法上の基本的な定めです。

敷金の適用の有無は契約内容次第なので、契約書を見ないと何とも言えません。

いずれにしろ、借主にかわって連帯保証人が支払った分については、連帯保証人から借主に支払いを求めることができます。

北川 様
ご回答を頂きましてありがとうございます。
敷金の適用の有無に関して、契約書を確認しましたところ、
甲(不動産会社)は、本物件の明け渡しがあったときは、明け渡し後1か月以内に敷金の全額を無利息で乙(借主)に返還しなければならない。但し、本契約から生じる乙の債務の不履行が存在する場合には、当該債務の額を敷金から差し引くことができる。この場合には、甲は、敷金から差し引く債務の額の内訳を乙に明示しなければならない。
と記載がありました。
今回はご回答いただき本当に助かりました。ありがとうございます。

連帯保証人は,主たる債務者に支払能力があると主張して,保証債務を免れることはできません。

敷金については,「保証人は,主たる債務者が主張することができる抗弁をもって債権者に対抗することができる」(民法457条2項)とされています。

主たる債務者は,賃貸人が敷金を原状回復費用に充当せずに原状回復費用を全額請求してきた場合には,(すでに賃貸借契約が終了して物件を明け渡していることが前提ですが)敷金との相殺を主張できます。

よって,連帯保証人も,主たる債務者が主張できる抗弁として,敷金(賃貸借契約終了,明渡しによって具体的に敷金返還請求権が発生します)との相殺を主張できると考えます。