創業者株式を相続するする場合の問題について
父は未上場の中小企業創業者で、自社株式を保有しておりますがこの度引退に際して息子の自分に株式を相続することを検討しています。
①相続税の問題
父の会社の純資産は7,000万円程度になりますが
純資産ベースで株式価値を換算した場合、相続税が高すぎて支払うことができません。
その場合、株式の相続はできず、相続を放棄をするしかないでしょうか?
②遺産相続の分配の話
家族構成は父・母・姉・私です。
株式の他の財産は自宅(4,000万円程度)ですが、
株式を相続した場合、自宅の相続権は私にないものと
考えるべきでしょうか?
以上、よろしくお願い致します。
①相続税の問題
税務ですので税理士に確認する必要がありますが,ご説明を拝見するとお父様が亡くなってから開始する相続の話ではなく,生前処分の話のようですので(なお,戦後の法改正で生前に相続する隠居という制度はなくなりました。),相続税の問題ではないようにも思われます。次の②もご確認いただきつつ,税理士への相談をご検討ください。
②遺産の分配
お父様がお亡くなりになった後に財産を分配する場合は相続の問題になります。
相続の場合,ご家族の法定相続分(奥様2分の1,ご相談者様4分の1,お姉さま4分の1)を基礎に,生前の貢献度等を考慮し,具体的相続分を決定し,その具体的相続分に従って個々の財産を分割していくというのが基本的な考え方になります(その際,裁判を起こさない限り,基本的には相続人全員の合意で分配の内容を決めます。)。この原則的な考え方に従えば,ご相談者様が全ての財産を取得するのは簡単ではないと思います(もちろん,他の相続人が同意すれば全て取得する余地もあると思います。)。
そのうえで,ご相談者様が多く受け取りたいということであれば,お父様に予め生前処分(生前贈与や信託等)を行っていただいたり,遺言を作成していただいたりすることが効果的です。もっとも,これらの手段でご相談者様が財産の全てを取得すると定めても,他のご家族様には「遺留分」という権利が残るため,一定程度はご家族様に分配する必要があります。
決して安くない金額の財産を動かすことになると思いますので,もう少し事実関係を整理しつつ,弁護士や税理士にも相談しながら,方向性を考えていくことがよいと思います。
① 株式の譲渡に関する税金
基本的に非上場かつ親族経営の会社において,創業者の持ち株がその親族に相続,譲渡される場合には,おっしゃられる通り,いわゆる純資産方式で株式の価格を評価した上で,税額が決定されます。もっとも,現在,お父様はご健在ということですので,事業承継税制の活用を検討されてはいかがでしょうか。事業承継に関連することなので,お近くの商工会議所がワンストップで対応してくれる可能性が高いですので,顧問税理士とともに,商工会議所へ相談に行かれてください。
② ご自宅の相続
前述の回答にもありますが,株式の相続を受けつつ,自宅の相続を受けるというのは,遺言の活用と遺留分の放棄,遺産分割協議の成立が必須となります。現実的な問題は,相続税の支払いです。もっとも,先ほどの事業承継税制の活用と併用すれば,相続税の基礎控除の金額に収まる場合もあります。また,お母さまがご健在ということですので,配偶者居住権の設定をすれば,より相続税を減額することが可能です。
以上のようにまだまだ対策の打ちようがあります。お早目に税理士,弁護士へご相談されることをおすすめいたします。