帰国後の自己破産の手続きについて(海外転出していることから日本に住民票なし)

お世話になります。

現在自己破産を検討しているのですが、日本に住民票がない状態でも自己破産の手続きを進めることは可能なのでしょうか?

数年前に海外転出届を出し、海外で仕事をしながら暮らしていたのですが、コロナの影響を受け収入がゼロになり、事業のために日本で借入していた借金を返済することができなくなりました。生活費も残り少なく、あと2ヶ月持つかどうかという状況です。

手持ちの現金もほとんどないことから、帰国したとしても住民票を置くための家を借りることもできません(帰国後は知人宅、もしくは民泊施設を転々とすることになると思います)。

上記の状況で自己破産の処理を進めることはできるのでしょうか?

よろしくお願いします。

日本に住民票が無いのは,(コロナが落ち着いたら)すぐに海外に戻られるからなのか,それとも日本に定住先がないからなのか,いずれでしょうか?
日本で自己破産を申し立てるためには,日本に居所が必要です。これは住民票所在地である必要はないので,ある程度住居を移られても問題ありません。
但し,自己破産を裁判所に申し立てたのちは,居住地を変えるためには裁判所の許可が必要になり得ます。そのため,特に海外に戻りたいと思ってもすぐに戻ることができない可能性があります。

ただ,日本国内に定住先が見つけられないとすれば,それは借金の問題と言うよりも福祉の問題ですので,社会福祉協議会や役所にご相談いただき,ある程度定住できる場所を確保することを先に考えた方がよろしいかと思います。

なお,日本の破産手続においても,海外の資産(海外の預貯金・保険等)も現金化する必要があります。もし海外に資産がある場合は,ご注意ください。

正木様

ご回答いただき、誠にありがとうございます。

現在日本に住民票がないのは、長期に渡り日本に帰国する予定がなかったため、海外転出届を提出していたからです。(日本に住民票を置いておくと各種税金や年金などの支払いで経済的な負担が増えるため、出国時に海外転出届を提出していました)。出国時に日本で財産になりそうなものは全て処分したので、定住先になるような場所もありません。

「日本で自己破産を申し立てるためには,日本に居所が必要です。これは住民票所在地である必要はないので,ある程度住居を移られても問題ありません」という部分についてもう少し詳しくお伺いしたいのですが、

①日本の居処=破産手続き時の書類に記載する住所(実際に生活している場所)という認識で合っていますでしょうか?
例えば仮に数ヶ月に渡りネットカフェや民泊施設で生活するとなった場合、そこを居処として申請できるのでしょうか?

②住民票所在地でなくとも良いとのことなのですが、住民票所在地以外の住所で申請するとしても(例えば①で言及したネットカフェや民泊施設など)、日本のどこかに必ず住民票を置いておく必要はあるのでしょうか?

住民票を置かずに日本に滞在することが法律的にOKで、住民票を置かなくても破産の手続きを進められるというのであれば、今回の帰国では日本に住民票をおかないでおきたいと思います(国民健康保険や年金の支払いが毎月必要になるかと思いますが、恥ずかしながら支払えるような状況ではないので)。

もし住民票を置くことが必須なのであれば、アドバイスいただいた通り社会福祉協議会や役所に相談したいと思います。

ちなみに海外への再渡航はもちろん考えているのですが、コロナはもちろんのこと、現在の経済状況では渡航費を確保することが難しいので、破産手続きが完了して経済的に余裕が出てからになると思います。

お忙しいところ大変恐縮ですが、お時間のある際にご回答いただけると幸いです。

よろしくお願いします。

> ①日本の居処=破産手続き時の書類に記載する住所(実際に生活している場所)という認識で合っていますでしょうか?

→ はい。

> 例えば仮に数ヶ月に渡りネットカフェや民泊施設で生活するとなった場合、そこを居処として申請できるのでしょうか?

→ これは状況として説明するほかないかと思います。少なくとも、破産法上そのような施設だから破産を認めない、というルールはありません。とはいえ民泊施設はさておき(現実的にお金持ちの人でホテル暮らしをしている人もいますので)、ネットカフェは郵便物等が届かないおそれも大きいため、ハードルは高いかも知れません。

>②住民票所在地でなくとも良いとのことなのですが、住民票所在地以外の住所で申請するとしても(例えば①で言及したネットカフェや民泊施設など)、日本のどこかに必ず住民票を置いておく必要はあるのでしょうか?

→ 現実的には必ず置いておく必要はないでしょうが、他方でルール上、日本国内に居住している以上住民票は日本におかないといけません。
 「住民は、常に、住民としての地位の変更に関する届出を正確に行うように努めなければならず、虚偽の届出その他住民基本台帳の正確性を阻害するような行為をしてはならない。」というのが住民基本台帳法のルールである以上、年金や保険の問題があるとしても、弁護士として「それなら仕方ないです」という回答はできません。