20代前半重症心身障害者(身障1級・知障1級・寝たきり)の長女に対する養育費・扶養料について

家裁で未成年の次女の養育費増額と、長女の養育費延長の調停中です。
長女は成人に達していますが身障1級・知障1級で寝たきり医療的ケアありの状態です。自立は永久に不可能で、私が自宅で24時間介護をしており就労制限もあります。
調停官から「審判なら扱える」「今回は月1万・25歳までで合意し、将来後見人の新制度ができたら後見人を立てて再請求すればいい」と打診されました。しかし現行の後見制度の負担から後見人を立てる予定はなく、提示額にも納得がいきません。
以下につき家裁実務のご見解をお願いします。
1. 裁判所の案内に「未成熟子は未成年に限らない」とありますが、寝たきりの長女を「未成熟子」と位置づけ、親権消滅後も母親申立のまま「養育費(766条)の延長」として審判で認めてもらうことは可能ですか?
2. 後見人なし・母親申立のまま審判へ移行した場合、「当事者適格がない」等で請求が却下(0円)されるリスクは高いですか?
3. 一度合意した後、将来新制度で後見人を立てて再請求する手法は実務上認められますか?
4. 後見人を立てない前提での最善の戦略(調停和解か審判か)をご教示ください。

1. 裁判所の案内に「未成熟子は未成年に限らない」とありますが、寝たきりの長女を「未成熟子」と位置づけ、親権消滅後も母親申立のまま「養育費(766条)の延長」として審判で認めてもらうことは可能ですか?
2. 後見人なし・母親申立のまま審判へ移行した場合、「当事者適格がない」等で請求が却下(0円)されるリスクは高いですか?
>>未成年=未成熟子ではありません、また、成年しているからといって常に成熟子でもありません。
養育費が発生する未成熟子かどうかという問題と、親権者に法的な代理権があるかどうか(成年かどうか)という問題を混同されているように思います。

3. 一度合意した後、将来新制度で後見人を立てて再請求する手法は実務上認められますか?
>>不可能ではないと思いますが、あくまでも「過去に一度合意していること」が前提となる(お子様にとって不利な判断になる可能性がある)と思います。

4. 後見人を立てない前提での最善の戦略(調停和解か審判か)をご教示ください。
>>前提が違ってしまいますが、後見人を立てることが最善かと思います。それ以外はいずれも次善であり最善ではありません。

日々のケアに追われる中、長女様と次女様のため、調停の進め方に悩んでおられることと思います。
限られた事実関係の中、一度だけのご回答になりますこと、ご容赦ください。
1.→可能といえます。長女様の障がいの内容・程度からすると、今なお未成熟子とみることができます。そう解釈すると、養育費(766条)の「延長」という意味合いではなく、(未請求の)養育費の請求と理解できます。そもそも父母には子の扶養義務があり(民法877条1項)、令和8年4月施行の民法第817条の12第1項において、「父母は、子の心身の健全な発達を図るため、その子の人格を尊重するとともに、その子の年齢及び発達の程度に配慮してその子を養育しなければならず、かつ、その子が自己と同程度の生活を維持することができるよう扶養しなければならない。」と明文化されました。つまり、養育費の根拠は扶養義務に求めることができす。扶養義務の大きな袋の中に、養育費支払義務が含まれるというイメージです。
2.→審判で扱ってもらえないリスクはあります。長女様の件が審判移行の対象になるかどうかが問題です。例えば、次女様の親権者として、「◎◎〇子親権者法定代理人△△▽美」という名義で申し立てたとすると、長女様の件は、次女様の養育費調停事件で事実上検討されているにすぎない可能性があり、調停不成立の場合、次女様の事件だけが審判に移行します。一方、調停官の「審判なら扱える」との発言が正確であれば、裁判所が長女様のための特別代理人を職権で選任してくれる可能性があります。
3. →「再請求」は、調停成立後の事情変更を理由に増額請求をすることになります。が、今回は長女様側の事情変更ではなく、後見人制度変更によるものですから、私ならお勧めしません。調停官の発言は記録には残らず、後の調停でそれを言ったとしても、説得力がないでしょう。
4. →回答するにはかなり難しい問題です。具体的な事情が不明なまま、お答えすることはできかねます。長女様が受給されているであろう障害年金額、相手方の収入、過去に調停(又は合意)が成立しているならその経緯や内容等の具体的な事情を下に、見通しを持った上で戦略を立てる必要があります。相談料を支払ってでも、お近くの弁護士さんで、養育費が生活保持義務に基づくことを理解されている方にご相談し、場合によっては依頼することをお勧めします。

この度は、ご丁寧にご回答いただき、ありがとうございました。

長女は重度の障害があり、日常生活のすべてに介助が必要な状態です。成人していることを理由に、父親からの扶養を求めることが難しくなるのではないかと不安に感じておりました。

先生のご回答を拝見し、未成熟子としての扶養や民法877条に基づく扶養義務など、今後の手続を考えるうえで大変参考になりました。

また、障害のある方の権利擁護に継続して携わっていらっしゃる先生からご意見をいただけたことも、大変心強く感じております。

お忙しい中、貴重なお時間を割いてご回答くださり、本当にありがとうございました。