離婚時の財産分与の基準日と、その後に取得した財産の扱いについて
妻と離婚協議中です。
離婚の主な原因は、私の事業失敗による借金です。
財産分与について、妻からは「夫婦の財産として分けるような預貯金はなく、あるのは子どものための預貯金だけ」という趣旨の説明を受けています。
また、「仮に財産分与で私にお金を渡しても借金返済に使われるだけなので、それなら子どもに残すべきであり、そこに納得できないなら裁判でも構わない」という趣旨の話もされています。
私自身、本当に子どものためのお金であれば、子どもに残すこと自体に異論はありません。
ただ、「財産は子どもの預貯金しかない」という点について、実際にそれ以外の財産がないのかは私には分からない状況です。
そのうえで妻から、8月14日に離婚の話をし、その後話し合いを進め、8月末には離婚する方向になっていたことを理由に、「9月1日を財産関係の基準日として、それ以降に取得した財産は各自のものとして整理したい」と言われています。
一方で、9月1日以降も同居を続けています。
家賃は私が負担しており、その他の生活費については夫婦で負担しています。
この状況について、以下を教えていただきたいです。
1. 離婚の話をした時期や、離婚する方向になった時期を理由として、9月1日を財産分与の基準日とすることは妥当なのでしょうか。
2. 9月1日以降も同居を続け、家賃は私が負担し、その他の生活費は夫婦で負担していることは、財産分与の基準日の判断に影響するのでしょうか。
3. 仮に「9月1日を基準日として、それ以降に取得した財産は各自のもの」と合意した場合、具体的にどの範囲の財産が財産分与の対象外になるのでしょうか。
4. 9月1日時点ですでに存在していた婚姻中に形成された預貯金などを、9月1日以降にマンションの頭金や購入資金などに使った場合、その財産は財産分与上どのように扱われるのでしょうか。
5. 現時点で「子どもの預貯金しかない」と言われているものの、それ以外の財産の有無を私が把握できていない状態で、9月1日を基準日として合意することには、どのような法的な影響やリスクがありますか。
6. 私に事業上の借金があり、仮に財産分与を受ければ借金返済に充てる可能性があることは、私が財産分与を受ける権利や、財産分与の対象範囲に影響するのでしょうか。
子どものお金を自分に分与してほしいという相談ではありません。
「9月1日を財産関係の基準日にする」という合意をした場合に、財産分与について具体的にどのような効果が生じるのかを理解した上で判断したいと考えています。
1、2 一般論としては、離婚するまで同居を続けられる場合には、実際に離婚をする日を基準とすることとなります。
3 仮に9月1日が基準日であるとされた場合、その日以降に発生した財産、及び婚姻前にそれぞれが有していた財産(特有財産といいます)が財産分与の対象外となります。
4 仮に9月1日が基準日であるとされた場合、その日の財産を基準として、それぞれの財産の額を計算し、多く財産を持っている方から金銭的に分配する形で財産分与をすることが多いので、そのような場合には、基準日以降に分与対象財産を使用したとしても、財産分与の計算には影響がありません。
5 仮に他の財産があった場合に、9月1日に相手方の財産が少なくなるように調整がされている可能性があるというリスクはあります。
6 関係ありません。
以上は細かい部分を捨象した一般論の説明になりますので、詳しいことまで知った上で判断したいということであれば、一度法律相談に行ってみることをおすすめします。
相談内容をもとに私見を回答させていただきます。
1.財産分与の基準日は、実務上、別居している場合には原則として別居時、別居せず同居したまま離婚する場合には離婚時とされるのが一般的です。
2.9月1日以降も同居を続け、家賃やその他の生活費を夫婦で負担しているのであれば、夫婦の経済的な共同関係が終了していないため、財産分与の基準日について合意がなく争いになった場合、9月1日が基準日ではなくなる可能性が高くなります。
3.基本的には9月1日より後に新たに形成した預貯金などは財産分与の対象外となります。一方で、9月1日時点ですでに存在していた夫婦共有財産は、その後も財産分与の対象となります。
4.9月1日時点ですでに存在していた夫婦共有財産は、その後に換価したり、別の財産の購入に充てたりしても、財産分与の対象外にはなりません。
5.財産の全容を把握しないまま9月1日を基準日として合意すると、後から財産が判明した場合に、その財産が財産分与の対象となるかについて争いになる可能性があります。
心配であれば、現時点で把握している財産を具体的に特定した上で財産分与について合意し、それ以外の財産が後から判明した場合には別途協議する旨を定めておくことも考えられます。
また、9月1日以降も同居して家計を共同していくのであれば、9月1日を基準日とする一方で、その後の家賃や生活費等をどのように負担・清算するのかが問題になる可能性もあります。
6.財産分与を受けた後、そのお金を借金の返済に充てる可能性があることは、原則として財産分与を受ける権利や財産分与の対象範囲には影響しません。
財産分与を受けた後に、その財産をどのように使用するかは別の問題です。
財産分与について当事者間で合意するのであれば、双方が納得している限り、一般的な基準がどうであるかは必ずしも重要ではありません。
一方で、一度合意してしまうと後から内容を変更することは容易ではありません。
そのため、そもそも9月1日を基準日とする条件で合意すべきなのか、合意するとしてもどのような条件や留保を付けておくべきなのかは、よく検討した方がよいと思います。
ご自身だけで判断することが難しければ、合意する前に、具体的な財産状況や相手方から提示されている条件を持参して弁護士に直接相談されることをお勧めします。