離婚後の住宅ローンと住宅の処理について
夫婦には小学生の子どもが2人おり、現在は妻と子どもが住宅に住んでいます。夫婦はすでに別居しており、離婚後も夫がその住宅に住む予定はなく、妻と子どもは現在の住宅に住み続けることを希望しています。
住宅ローンの債務者は夫です。妻の収入では住宅ローンを単独で引き受けることが難しく、銀行との関係でも妻へ債務者や返済方法を変更することが難しい状況です。
また、住宅はまだ5年未満と築年数が浅く、住宅ローンも30年以上残っています。現在査定をすると、住宅の売却価格より住宅ローンの残債の方が約500万円多い、いわゆるオーバーローンの状態です。
そのため、単純に住宅を売却すれば解決するという状況でもなく、売却した場合には約500万円の残債が残ることになります。
夫としては、離婚後に自分が住まない住宅について、今後30年以上にわたって住宅ローンの債務者であり続けることは避けたいと考えています。
一方で、妻は「子どものために現在の家に住み続けたい」と希望しており、住宅の売却には消極的です。
このような状況について、以下の点を教えていただきたいです。
① 妻が住宅ローンを引き受けることができず、夫も離婚後にその住宅に居住しない場合、夫が住宅ローンの債務者から外れるために、住宅を売却する方向へ進めるための法的な手段はありますでしょうか。
② 妻が「子どものために現在の家に住み続けたい」として売却を拒否した場合でも、離婚調停や財産分与の手続の中で、夫側から住宅の売却を求めることは可能でしょうか。
③ 現在約500万円のオーバーローンであるため、売却した場合には売却代金だけでは住宅ローンを完済できない見込みです。このような場合、住宅を売却する際の残債約500万円について、夫婦間でどのように整理することになるのでしょうか。また、オーバーローンであることによって、夫から売却を求めることが難しくなるなどの事情はありますでしょうか。
④ 妻が売却に同意しない場合、具体的にはどのような手続きや主張をすることになるのでしょうか。また、妻が同意しない場合でも、最終的に住宅の売却を進めることができる可能性があるのか知りたいです。
⑤ 例えば、すぐに売却するのではなく、「妻と子どもが一定期間は現在の住宅に住めるようにする」「その期限までに妻が住宅ローンを引き受けることができなければ売却する」といった条件を、離婚時の取り決めとして定めることは可能でしょうか。
⑥ 住宅がまだ築浅で、住宅ローンも30年以上残っていることから、妻と子どもが現在の住宅に住み続ける場合、夫が長期間にわたって住宅ローンの債務者であり続けることになります。夫が離婚後も債務者であることによって、将来的に自身の住宅ローンを組む際などに不利益が生じる可能性も考えています。このような事情は、住宅の売却を求める際の考慮事情になるでしょうか。
「妻と子どもの現在の生活を守ること」と「夫が離婚後も長期間、住んでいない住宅の住宅ローン債務者であり続けることを避けること」の両方を考えた場合、どのような解決方法が現実的なのか、併せてご教示いただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。
①については有効な法的手段はありません。財産分与の対象外になりますが当事者間で離婚に伴い所有者を決める→所有権に基づき売却などすることが考えられます。②売却を調停段階で求めることは可能です。但し、財産分与の審判や訴訟の判決では-の財産ですので対象になりません。③夫婦間で応分で分担することになるかと思います。但し、ローン先には夫が債務者です。④については離婚手続き中は難しいです。なお、端的にローン支払いを停止すると強制競売などになりますが、信用情報に傷がつくのでお勧めできません。⑤当事者間では合意で可能です。⑥なるかと思います。一番のアプローチは、ローンの支払い停止リスクや賃貸にして実質家賃を相手に負担させる等の条件を提示して行くと相手としても売却方向に考えることもあります。現実的には、妻側の協力者(両親等)いる場合は、借り換えをして貰い財産分与して妻に名義を移すことです(税務上も財産分与であればその限りで税金が有利です)。それが出来ない場合は売却するのが一番将来に禍根を残さないかと思います。ご参考にしてください。
肥田弘昭先生、ご丁寧にご回答いただき本当にありがとうございます。
自分たちだけで考えていると、妻が売却を拒否している以上どうすることもできないのではないか、夫が離婚後もローンを背負い続けるしかないのではないかと行き詰まっていたので、今回、具体的な選択肢や今後の進め方を教えていただけて、とても参考になりました。
特に、
・妻側で借り換えができるのであれば、協力者も含めて妻側でローンを引き受ける方法
・それが難しい場合には売却を検討すること
・妻が住み続ける場合には、賃貸にするなど実質的な負担を求める条件を提示して交渉する方法
など、今まで考えていなかった選択肢を知ることができました。
また、離婚後も夫が住まない住宅のローンを長期間抱え続けることについて、将来的に禍根を残さないためにはどうするべきかという視点も、とても勉強になりました。
感情的になってしまっていた部分もありましたが、先生にご回答いただいたことで、何を優先して話し合えばいいのか少し整理できたように思います。
お忙しい中、ここまで具体的にご回答いただき、本当にありがとうございました。
今後の話し合いの際にも参考にさせていただきます。