内々定取消しの有効性と法的対処法についての相談
友人本人の了承を得たうえで相談内容をまとめています。以下の「本人」は友人を指します。
本人は、アルバイトとして勤務している会社から、翌年度4月入社予定として新卒採用の内々定を受けていましたが、最近になって突然、内々定を取り消す旨を伝えられました。
内々定の通知を受けたのは今年の初め頃です。その後、会社から承諾書の提出を求められ、本人は署名して提出しています。承諾書には、会社から採用内々定の通知を受けたことを承諾する趣旨の記載や、一定の場合には採用内定を取り消されても異議を申し立てない旨の記載があります。
本人はこの会社への入社を予定していたため、内々定後は就職活動を行っていませんでした。
取消しを告げられた面談では、会社から、業務上の対応や社員とのコミュニケーション、社員との信頼関係等について、入社後の社員に求める水準との間に看過できない隔たりがあり、一つの出来事だけではなく、それまでの勤務状況等を総合的に判断した旨の説明を受けました。
しかし、それまで本人は、会社の経営者や幹部等から、勤務態度や社員とのコミュニケーションについて、内々定取消しにつながるような具体的な注意、警告、改善指導や事実確認を受けたことはありませんでした。
そこで本人は会社に対し、問題とされた具体的な出来事、その時期、会社が問題と判断した内容、内々定取消しの具体的根拠、過去に注意・指導した記録の有無等について、書面で回答を求めました。
これに対して会社からは、アルバイト勤務における業務上の対応や社員とのコミュニケーションだけでなく、会社行事等を含む社員との関わりの中で確認された言動や周囲との関係性など、一連の状況を総合的に検討した旨の回答がありました。
一方、個々の出来事、その時期、具体的なやり取りについては、関係社員その他の第三者の個人情報や、個人を特定し得る情報が含まれることを理由として、具体的な回答を得られませんでした。
本人が問題になり得るものとして認識している出来事の一つに、数か月前、会社関係者との飲み会において、酒に酔った状態で女性社員に対して不適切な発言をしたことがあります。
本人は、その発言が不適切であったことを認識しており、会社から指示を受ける前に、自ら当該社員に謝罪しています。その後、この件について会社幹部等から本人に対する事実確認、注意、警告、改善指導等はありませんでした。
また、その後も本人は会社関係者との交流の機会に参加しており、当該女性社員を含む社員らと通常どおり接していました。内々定取消しの直前にも会社関係者との交流の機会があり、本人は会社側から参加を勧められて参加しましたが、本人が認識している限り、その場でトラブルはありませんでした。
なお、相談内容をまとめている私自身も本人と同じ会社でアルバイトとして勤務しており、普段の勤務や会社関係者との交流の場で本人と一緒になることが多くあります。
少なくとも私が実際に見聞きした範囲では、上記の不適切な発言を除き、普段のアルバイト勤務や会社関係者との交流等において、内々定取消しに至るほど重大と思われる言動やトラブルは特に見受けられませんでした。ただし、あくまで私自身が直接見聞きした範囲の認識です。
本人としては、自分の行動に問題があったのであれば反省・改善したい旨を会社にも伝えています。しかし、具体的にどのような出来事が内々定取消しに値すると判断されたのかについて、現在も十分な説明を受けられていない状態です。
そこで、以下についてご相談したいです。
・名称は「内々定」とされていますが、内々定通知、承諾書の提出、その後の経緯等から、既に労働契約が成立した「採用内定」と法的に評価される可能性はありますか。
・労働契約が成立していたと評価される場合、会社が説明している上記のような理由によって内定取消しが有効となる可能性はありますか。
・本人への具体的な事実確認、注意、警告、改善指導等が行われないまま、突然内々定を取り消されたという経緯は、取消しの有効性を判断するうえで考慮されますか。
・本人が具体的な取消理由の説明を求めても、第三者の個人情報等を理由として、問題とされた具体的な出来事や時期等を明らかにしない会社の対応について、法的に問題となる点はありますか。
・内々定取消しが無効または不当と評価される場合、入社を求めることや、損害賠償等を請求することは可能でしょうか。
・今後会社とやり取りする際に注意すべきことや、保存しておくべき証拠があれば教えてください。
本人の手元には、内々定関係書類、取消しを告げられた面談の録音データ、会社とのメールのやり取り、書等があります。
よろしくお願いいたします。
「内々定」という名称だけで法的効力が決まるわけではなく、内々定通知、承諾書の内容、入社日・給与等の確定状況、その後に正式な内定手続が予定されていたか等を踏まえ、既に労働契約が成立していたかを判断します。本件では承諾書まで提出しているため、労働契約成立を主張できる余地は十分あります。
労働契約が成立していた場合、会社は単に「コミュニケーション」「信頼関係」等の抽象的理由だけで自由に取消しできるわけではなく、具体的事実とその重大性、取消しの相当性が問題となります。事前に具体的な注意・警告・改善指導がなかったことや、その後も通常どおり勤務・交流していたことは、会社の主張する問題の重大性を検討するうえで重要な事情です。
また、本人が取消理由の説明を求めている以上、「第三者の個人情報」を理由に具体的事実を全く示さない対応が十分とは限りません。内定取消しが無効であれば、入社・労働契約上の地位確認や賃金請求を検討でき、仮に労働契約成立まで認められなくても、就職活動を終了したこと等を理由に損害賠償請求の余地があります。
内々定通知、承諾書、面談録音、メール、謝罪記録、勤務状況や会社行事への参加状況が分かる資料はすべて保存しておくべきです。
ご回答ありがとうございます。追加で以下についてご教示ください。
①内々定通知後に承諾書を提出し、2027年4月1日の入社を前提に就職活動を終了していました。労働契約成立の判断において、ほかに重要となる資料や事情はありますか。
②取消し以前に、会社から具体的な事実確認、注意、警告、改善指導等は一切ありませんでした。また、取消し約2週間前にも、欠席予定だった本人を人事担当者が会社の飲み会へ強く誘い、その後も通常どおり社員との交流が続いていました。これらは「信頼関係に看過できない隔たり」の重大性や取消しの相当性の判断に考慮されますか。
③会社は具体的な出来事や時期について「第三者の個人情報」を理由に回答していません。さらに理由開示を求めるべきでしょうか。それとも弁護士や労働局等への相談に移るべきでしょうか。
④法的に争う場合、会社がその段階で初めて取消理由となった具体的事実や証拠を提示することは可能ですか。また、会社側にはどの程度の立証が求められますか。
⑤9月まで入社を予定し就職活動を終了していましたが、現在は再開しています。別企業から内定を得た場合でも損害賠償請求の余地はありますか。また、どのような損害が対象となりますか。
⑥入社ではなく金銭的解決を希望する場合、弁護士への依頼、労働局のあっせん、労働審判、訴訟等のうち、どのような手段が適切でしょうか。
⑦会社が問題視している可能性のある出来事として、2026年4月の会社関係者との飲み会で、酔った状態で女性社員に不適切な発言をし、拒否されたことがあります。本人は翌日以降反省し、会社から促されることなく自発的に謝罪しました。その後、この件について会社から事実確認、注意、警告、改善指導等はなく、約5か月通常どおり勤務しています。 仮にこの出来事が取消理由の一つだった場合、内定取消しを正当化する程度の理由となり得ますか。また、出来事から約5か月後に取消しを通知したことは、取消しの相当性を判断するうえで考慮されますか。
よろしくお願いいたします。