居住用不動産処分許可の申立て時の同意書発送のタイミングについて

母の成年後見人を務めていたします。
実家で一人暮らしをしていましたが認知症が進んだため、施設へ入所しています。
今後の施設費用を負担するため、現在、誰も住んでいない実家の売却を進めています。
現段階では未だ買主は決まっていません。
そこでご相談させて頂きたいことがあります。
・居住用不動産処分許可の申立てをスムーズに進めるため、推定相続人へ同意書を送ろうと思います。
 買主が決まらない前に同意書を送っても問題ないでしょうか。売却までに時間がかかってしまうと
 再度、同意書の入手が必要になってしまうでしょうか。
・成年後見人申立ての時には同意書は1名しか返信(同意)がありませんでした。
 居住用不動産処分許可の申立ての際も1名の同意で問題ないでしょうか。
 いずれの推定相続人も疎遠の状態です。

よろしくお願いいたします。

まず、居住用不動産の売却許可申立ては、原則として、買主、売却価格その他の契約条件が具体的に定まった段階で行います。裁判所の案内でも、売買契約書案、評価証明書、不動産業者の査定書等の提出が求められており、実務上は、買主や契約内容が決まり、契約書に押印する前の段階で申し立てるのが一般的です。

したがって、買主決定前に親族へ同意書を送付することは可能ですが、その内容は「施設費用等を確保するため、自宅を売却する方針に異議がない」という一般的な意向確認にとどまります。その後、売却まで長期間が経過した場合や、実際の売却価格が査定額を大きく下回る場合には、親族間の紛争防止の観点から、具体的な条件を示して再度確認することが望ましいでしょう。もっとも、「1年以上経過すれば必ず同意書を取り直す」という一律の基準があるわけではありません。

次に、推定相続人全員の同意は、民法859条の3に基づく居住用不動産処分許可の法律上の要件ではありません。裁判所が重視するのは、売却の必要性、価格の相当性、本人の意向、今後の居住場所、本人に不利益がないかといった点です。

したがって、疎遠な推定相続人から返信が得られず、1名分の同意書しか提出できない場合でも、それだけで申立てができなくなるわけではありません。必要に応じて、連絡を試みた経緯や返信が得られなかった事情を説明し、送付文書の控えを提出する対応が考えられます。

ただし、許可の可否は家庭裁判所が個別に判断するため、「必ず許可される」とまでは断定できません。なお、不動産が本人の単独所有ではなく共有である場合には、他の共有者との調整が別途必要です。

ご教示頂きまして、ありがとうございます。
親族間の紛争は避けたいので買主、売却価格や契約内容が決まったあとに異議がないか同意書を送付するようにいたします。
また許可の可否につきましても承知いたしました。
ありがとうございました。

お答え致します。居住用資産の売却については,被後見人について不利益にならないことが大事です。従って,売却の条件を具体的に決めた上で裁判所に許可の申請をすることになりますが,その際,売買価格が近隣の不動産の相場と比較して問題のないことや,今後被後見人が当該居住用資産に住む可能性のないことを具体的に説明する必要があります。推定相続人の同意は売却の要件ではありませんので無理をして同意を得る必要はありません。むしろ,売却条件が具体的に決まった時点で裁判所の担当書記官に連絡し,事前に説明をして内諾を得た上で正式に売却許可の申請をするのがよろしいか存じます。当職も成年後見人をしていた事案で自宅の売却許可を得て売却したことがありますが,売却条件を詰めた上で事前に担当書記官を通じて内諾を得てから正式に許可申請をして売却をしました。

ご回答頂きまして、ありがとうございます。
「無理をして同意を得る必要はありません」というコメント、とても安心しました。
被後見人が不利益にならないよう良い条件で売却を進めて参ります。
ありがとうございました。

あなたの「相続」の悩みも解決してみませんか?(無料)