民法改正後の消滅時効と仮処分命令の完成猶予について

2020年4月の民法改正により、不法行為の時から20年の期間は「消滅時効」として扱われることになり、完成猶予や更新の制度が適用されるようになりましたが、権利者が仮処分命令をして本訴しないでアクセスプロバイダに30年保存だけしてもらった場合は、仮処分手続き中は時効がストップするので30年と完成猶予の6か月のトータル30年6か月間の時効は認められますか?

理論的にはそのとおりです。ただし、アクセスプロバイダに発信者情報消去禁止仮処分して30年間も放置することは、およそ考えられません。

発信者情報開示請求だけのお話でしょうか?
情報流通プラットフォーム対処法に基づく発信者情報開示請求については、時効という概念はありません。
プロバイダが発信者情報を保有していれば、昔の行為(投稿)でも要件をみたせば開示されますし、ログがない状態であれば、開示されないだけです。

プロバイダにする仮処分で発信者の情報がでてこないものであればログ(発信者情報)の保存の仮処分でしょうが、これをしている場合でも、発信者の被害者に対する損害賠償請求権の消滅時効の完成猶予にはならないというのが一般的です。

しかし、損害賠償請求権の消滅時効は被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間又は不法行為の時から二十年間(民法724条)となっており、ネットの投稿被害の場合、発信者情報開示請求によって初めて加害者が明らかになるのが通常ですから、開示されるまでは加害者が不明なので、加害者に対する損害賠償請求の消滅時効の完成は、不法行為の時から二十年間と考えられます。

加害者に対する賠償請求を考えられている場合は、早急に対応されることをおすすめします。